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    激突!/ DUEL
    ● 激突!/ DUEL [アメリカ / 1973年]

    激突!/ DUEL_b0055200_10252415.jpg巨匠スティーヴン・スピルバーグの足跡を辿る。シンプルな構図に、斬新な着眼点を得たアイデアが強烈に効いている。現実味を捨て切っていない点もいい。しがない男が不意に感じた命の危機。あなたなら、"Duel"に立ち向かえる覚悟はあるか…。



    監督は、スティーヴン・スピルバーグ。原作、脚本は、リチャード・マシスン。「デイヴィッド・マン」役には、テレビ映画で活躍したデニス・ウィーヴァー。

    "Terror in your rear view mirror."
    サウス・ストリートの混雑を抜け、カリフォルニアを南へ走る。国勢調査の世帯主は妻でもいいのか。ラジオのバラエティに笑い声をあげる。爽やかなドライブの予感がした。「デイヴィッド」は排気ガスを撒き散らす40トンの大型タンクローリーを、ただ追い抜いただけであった。それが彼の長い1日の始まりであることなど露知らず…。


      もともとはテレビ映画として製作された作品であり、本国アメリカでの劇場公開はテレビ放映の10年以上も後のこと。しかし、この作品こそ、業界から世界へ、無名であったスピルバーグの存在感を一気に高めたのである。とかく低予算であったことが有名だが、チープ感を感じる隙がなく、むしろダイナミズムに満ち溢れている。ファンタジー・サイコスリラー作品を対象としたフランスの映画祭、アボリアッツ・ファンタスティック映画祭の第1回グランプリに選ばれた。

      一度追い越しただけでタンクローリーに追われ続けるはめになった、不運な男の物語。それだけで説明がついてしまうほどの至極シンプルな作品なのだが、これが面白い。相手が見えない、動機が分からない、というアイデアが強烈に効いているからだ。恐怖の対象は、運転手から、やがてタンクローリーそれ自体へと変わっていく。バックミラーに映るタンクローリーが、まるで意志を持っているかのように威圧感を寄せてくる。

      作品が現実味を捨て切っていないという点もいい。煽られる、という日常で有り得るシチュエーションも然ることながら、デニス・ウィーヴァーの演技が非常にニュートラルである。水をがぶ飲みし、被害妄想だと自身に言い聞かせる。道中、カフェでの一コマは、この作品に不可欠である。

      逃げられぬ絶望感にさいなまれる「デイヴィッド」と、人間味を失った無情の暴走タンクローリー。対極の立場を見事に描き分け、シンプルな攻防の中にも奥の深さがある。全てのシーンに無駄がない。ラジオに笑う「デイヴィッド」もまた、妻の尻にしかれたしがない男なのだ。平凡なる暮らしの中で、予期せぬ危機と対峙したとき、あなたなら"Duel"に闘争心を揺り起こせるだろうか。

    ● 製作 : Universal TV
    ● 配給 : Cinema International Corporation
    ● 公開 : 1971年11月10日 - カナダ(TV放映)、 1973年1月13日 - 日本(劇場公開)
    by movis | 2004-11-14 21:00 | パニック