● ターミナル / THE TERMINAL [2004年]
小さなピーナッツ缶に詰められた大きな約束―――――
起伏に乏しいストーリー展開ではあるものの、笑いあり涙あり、小さな光が灯ったかの様に心に優しく温かい。アメリカのとある空港ですごした数ヶ月間でひとつ別の人生を生きた男の、切なくも感動的な物語。
監督は数々の名作を世に生み、トム・クルーズを主演に迎えて期待される新作「宇宙戦争」も手掛けるスティーブン・スピルバーグ。「ビクター・ナボルスキー」役には、「フォレスト・ガンプ 一期一会」「キャスト・アウェイ」のトム・ハンクス。「アメリア・ウォーレン」役には、「シカゴ」「オーシャンズ12」のキャサリン・ゼタ・ジョーンズ。「フランク・ディクソン」役には、「ロード・トゥ・パーディション」「ザ・コア」のスタンリー・トゥッチ。
ビジネス出張客や観光客でごった返すJFK国際空港。ある日、その空港に1人の入国許可の下りない客が現われた。彼の名前は「ビクター・ナボルスキー」。彼はある約束を果たす為に渡米したのだが、彼の出身国クラコウジアを離陸直後に同国においてクーデターが勃発。クラコウジアは事実上消滅してしまった為にパスポートが無効になってしまったのだった。前にも後にも進路を断たれてしまった「ビクター」は空港で完全に孤立してしまう…。
ちょっと間が抜けているものの、純粋な心を持った男「ビクター」を演じるトム・ハンクスの演技力が素晴らしい。脇を固めるキャラクター達も個性が明確に描かれており、人間関係においても色鮮やかで面白い。ユナイテッド航空のファーストクラスを任されているエリートFA(フライト・アテンダント)「アメリア」役のキャサリン・ゼダ・ジョーンズがまた一輪咲いた花の様に可憐な存在で非常に惹かれる。(ファースト・クラスで乗客に奉仕する彼女の姿は想像出来ないけども…。)
正直なところ、起伏に乏しいその展開に観賞当初は若干物足りなさを感じたが、促進CMを観て映画を思い出す度、そして何よりこうしてレビューを書くに際して内容をフラッシュバックさせてみると、心地よい風が吹き抜けていった様に心温まる作品だった。何度も観たくなる作品ではないけれども、後々良い映画だったと思える爽やかな印象が心に残るだろう。
● ターミナル / THE TERMINAL 公式サイト(日本)
http://www.terminal-movie.jp/