● オン★ザ★ライン 君をさがして / ON THE LINE [2002年]
「'n Sync(イン・シンク)」のランス・ベースが主演し、製作総指揮も務めた意欲作。その他のキャストにも豪華な名前がそぞろと並んでいる。どんでん返しのない展開に、予想通りの結末。あまりにストレートなラブ・ロマンスだ。しかし、観賞後には…。
監督はエリック・ブロス。「ケビン」役には、「Back Street Boys」と同じ様に欧米で人気を博した人気グループ「'n Sync」のランス・ベース。「ロッド」役には、同じく「'n Sync」よりジョーイ・ファトーン。「エリック」役にはG.Q.。「ランディ」役には、ジェームス・ブリアード。「アビー」役には、エマニュエル・シューキー。またソウル・シンガーとして有名なアル・グリーンが本人として出演している他、「ロッド」が憧れる伝説のロック・スター「ミック・シルバー」役として、「Bon Jovi」のリード・ギタリスト、リッチー・サンボラが出演している。
"He's Risking It All... For Love At First Sight!"
シカゴの広告代理店に務める「ケビン」は、高校時代の苦いエピソードがトラウマとなって恋愛が出来なくなってしまう。ある日、偶々通勤電車で隣合わせになった女性と完全に意気投合。ところが「ケビン」は彼女の名前も電話番号も聞かず、それを聞いた高校時代からの親友「ロッド」「エリック」「ランディ」は呆れてしまった。彼女の存在を忘れるどころか、次第に気持ちが高まる「ケビン」。何としてももう一度会いたい。そして、「電車の君」を探す日々が始まった…。
とにかく90年代にハリウッドが世に送り出した正統派ラブ・ロマンスは、ストレートなものが多くて、この作品もご多分に漏れず同じだ。特別、動機やストーリーにひねりはないし、サプライズな結果だって待ってやしない。「完成度」という観点で客観的に評価するならば、それはひたすら「凡」が並ぶ作品に過ぎない。
ところがどうだろう。観賞後には不思議と身体が軽く感じるし、爽やかな春風が吹いた様な心地の良さが残る。要所要所で挿入される BGM や楽曲は、なるほどミュージック・シーンで活躍する人物が多数出演しているだけあって聴きごたえがあるし、軽快なテンポを崩さない90分という上映時間も最適だ。何よりも、「ケビン」と「電車の君」のラブ・ストーリーで終わらず、彼を取り巻く「ロッド」「エリック」「ランディ」との男臭くも可愛らしい友情がしっかりと描かれている点が気持ち良い。
エンド・ロールでは、思わず自分も踊りだしたくなった。壮大なミュージック・ビデオを観るつもりでも良し。良くも悪くも、軽い作品だ。
● DVD
オン・ザ・ライン-君をさがして- (Amazon.co.jp)