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    グッド・シェパード / The Good Shepherd
    ● グッド・シェパード / The Good Shepherd [アメリカ / 2007年]

    グッド・シェパード / The Good Shepherd_b0055200_46474.jpg13年ぶり、監督ロバート・デ・ニーロとしての2作目は、"優等生"な作品であった。重厚感たっぷりで、中身もぎっしりと詰まっていて、長いのだけれど、グイグイと惹き込まれる。この雰囲気、どこかで覚えがあると思ったら…。フランシス・F・コッポラ、やっぱり貴方でしたか。



    監督兼「ビル・サリヴァン」役での出演は、「ブロンクス物語/愛につつまれた街」のロバート・デ・ニーロ。製作総指揮には、"ゴッドファーザー"シリーズのフランシス・フォード・コッポラ。「エドワード・ウィルソン」役には、"ジェイソン・ボーン"シリーズのマット・デイモン。「マーガレット・"クローバー"・ラッセル」役には、「Mr. & Mrs. スミス」のアンジェリーナ・ジョリー。「サム・ミュラック」役には、「レッド・オクトーバーを追え!」のアレック・ボールドウィン。「アーチ・カミングス」役には、「ビック・フィッシュ」のビリー・クラダップ。

    "Edward Wilson believed in America,
     and he would sacrifice everything he loved to protect it."
    第二次世界大戦開戦直前のアメリカ、ニューヘイブンのイェール大学に学ぶ「エドワード・ウィルソン」は、政界にエリートを輩出してきた秘密結社"スカル & ボーンズ"への入会、FBI捜査官「サム・ミュラック」との接触などを経て、大戦を有利に進めるために国家の諜報機関に従事していく。エリート評価を受ける彼であったが、私的に混乱も生じた。「ローラ」という恋人がいるにも関わらず、"スカル & ボーンズ" OB 「ラッセル」上院議員の娘「クローバー」を懐妊させてしまったのだ。「クローバー」との人生を選ぶ「エドワード」。しかし、「サリヴァン」将軍からロンドンでの戦略事務局員(OSS)の任を受けたのは、まさに挙式の日であった…。


    監督ロバート・デ・ニーロとしての2作目は、主演にマット・デイモンを向かえ、CIA創設史がテーマのドラマである。折りしも、記憶を失くした暗殺者とCIAの攻防を描く、マット・デイモンの人気シリーズ完結作「ボーン・アルティメイタム」と上映時期を同じくした点が興味深い。

    CIA創設史というテーマを堂々と保ちながらも、「エドワード・ウィルソン」を核とした人間のドラマが、戦時中の重々しさ、人間関係の複雑さなどとともに重厚に描かれており、クラシックで非常に渋かった。登場人物が多かったり、歴史背景の解説も丁寧ではないから、漫然と観てしまえば一気に置いてきぼりを喰らってしまいそうだが、「エドワード・ウィルソン」が巻き込まれる出来事にはサスペンス要素も含まれており、一定の緊張感を持ちながら観賞できる。

    作品の核心は、"The Good Shepherd"というタイトルに潜んでいる。これは聖書では『善い羊飼い』であり、『善い羊飼いは羊のために命を捨てる』とされている。この言葉が、CIA創設にどのように関わってくるか、が見所といえる。マットデイモンの抑揚に欠けた、哀愁漂う演技が非常に印象深い、"優等生"な作品であった。

    ● グッド・シェパード / The Good Shepherd 公式サイト(日本)

    http://www.goodshepherd.jp/
    by movis | 2007-11-27 06:20 | ドラマ