● ソウ2 / SAW II [アメリカ / 2005年 /
R-15]
前作を観賞してしまうと、恐怖を煽る手口が分かってしまうので、それ以上を求めてしまう。閉塞感や緊張感は前作に比べて緩やかに、そして印象の受け方も前作と少し違う。良くも悪くも、映画らしくなってしまった。しかし、気が抜けぬ、底冷えするような恐怖は相変わらずで…。
監督は、ダーレン・リン・バウズマン。製作総指揮には、前作監督のジェームズ・ワンと、前作では「アダム」役を演じたリー・ワネル。「エリック・マシューズ」役には、「シックス・センス」「身代金」のドニー・ウォールバーグ。「アマンダ」役には、「アニー」のショウニー・スミス。「ジグソウ」役には、「ザ・シークレット・サービス」のトビン・ベル。「ダニエル・マシューズ」役には、エリック・ナドセン。
"We Dare You Again..."
かつては荒くれた刑事であったが、近頃、内勤へと転じた「エリック・マシューズ」は、妻から離婚を告げられた上に、息子「ダニエル」の素行の悪さに苛立っている。心にもない言葉を彼に浴びせてしまった。嫌悪に陥っている「エリック」は、猟奇的連続殺人犯「ジグソウ」を追う女性刑事「ケリー」からの呼び出しを受けて、ある事件の現場に立ち会った。凄惨な殺人現場に「ケリー」が「エリック」を呼び出したのには、現場に「エリック」を名指しする犯人からのメッセージが残っていたからであった。「ケリー」からは協力を請われる「エリック」だが、気は進まない。自宅に戻った「エリック」は、息子に詫びようと電話をかけるが、連絡がつかず…。
閉ざされた空間のなかから、いかに脱出するか、という閉塞感ともなう作品を"ソリッド・シチュエーション・スリラー"と呼ぶらしい。閉鎖的な空間に観賞する人間の意識を集めた前作は、その醍醐味を如何なく魅せてくれた。今作は、物語の舞台となる"内部"の世界と、それを補足する"外部"の世界がリンクしてしまい、閉所独特の息苦しさや緊張感が薄れてしまった。登場人物も各々が明確な意識を持って行動してしまうので、体験には至らず、傍観者とならざるを得ない。精神を困憊させる演出は、前作が巧い。
そうは言っても、絶望するようなトラップのクオリティは健在だ。恐怖感を伴うサスペンスに関しては、前作よりもしっかりと機能しており、またしても驚愕のラストへと真っ直ぐに進んでいく。作品の軸が、目に見えやすくなったという点から言えば、良くも悪くも映画らしくなった。
何とか危機を脱しようとする登場人物と同じように、早く終わってくれ、と願っている自分を知った。もちろん、進んで観賞しているにも関わらず、である。スタッフ・ロールが流れて漏れるため息。どうもこの一瞬を味わいたいがために、作品を欲しているような気がしてならない。
● 関連作品 in the MOVIS
ソウ [2004年]
● 製作 : Twisted Pictures
● 配給 : Asmik Ace Entertainment
● 公開 : 2005年 (アメリカ / イギリス / ブルガリア / ルーマニア)