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    ブラディ・サンデー / BLOODY SUNDAY
    ● ブラディ・サンデー / BLOODY SUNDAY [イギリス / アイルランド / 劇場未公開]

    ブラディ・サンデー / BLOODY SUNDAY_b0055200_2342756.jpgポール・グリーングラスが、その存在感を高める由縁となった作品。ドキュメンタリー・タッチを得意とする彼の手腕が、1972年に実際に起こった"血の日曜日事件"をテーマに如何なく発揮されている。「U2」が奏でた、あの名曲の背景とは。迫真の臨場感が心に痛い。



    監督は、「ボーン・スプレマシー」「ボーン・アルティメイタム」「ユナイテッド93」のポール・グリーングラス。「アイヴァン・クーパー」役には、「マッチポイント」のジェームズ・ネスビット。「フォード」役には、「Vフォー・ヴェンデッタ」のティム・ピゴット=スミス。「マクレラン」役には、「ハムレット」のニコラス・ファレル。「ラガン」役には、「ブレイブハート」「ナイロビの蜂」のジェラルド・マクソーリー。

    "A dramatization of the Irish civil rights protest march and subsequent
     massacre by British troops on January 30, 1972."
    それはただ、"平和的な行進"であるはずであった。「アイヴァン・クーパー」は、ただカトリック系住民の公民権を実現させたいだけだった。1972年1月30日、北アイルランド、デリー。この日曜日は、歴史に深く、悲しい傷を残した…。


    2002年2月、ヴェネチア、カンヌと並んで"世界三大映画祭"と称されるベルリン国際映画祭にて、2つの作品が金熊賞を受賞した。ひとつは宮崎駿監督作品の「千と千尋の神隠し」である。このビッグ・ニュースに日本が沸いていた間、世界はもうひとつの才能を知った。同年、同じく金熊賞を受賞した「ブラディ・サンデー」のポール・グリーングラスである。彼のキャリアパスを眺めれば、「ブラディ・サンデー」に次ぐ作品が「ボーン・スプレマシー」であるから、彼の存在感が高まった由縁がこの作品にある、と言っても過言ではないだろう。

    北アイルランドでは、歴史や宗派などの観点の違いから、北アイルランドに対する対応をめぐってイギリス政府とカトリック系住民の間で対立が深まった。一連の紛争は"北アイルランド問題"などと呼ばれ、今なお問題解決には課題が山積しているのが現状である。1972年1月30日日曜日、"血の日曜日事件"は、まさに問題を浮き彫りにした悲惨な出来事であった。

    ユナイテッド93」などの作品を通して、ポール・グリーングラスのドキュメンタリー・タッチへのこだわりや精巧さが評価されてきたわけであるが、この作品においても彼の味が如何なく発揮されている。手持ちのビデオカメラによる"手ぶれ"の応用やコマ割りの繊細さにも表れているように、真に迫る臨場感、リアリティはドキュメンタリーと見違えるほどであった。客観性のある"伝える"気持ちの力強さがあるから、尚更、心が痛い。

    作品のエピローグには、同じくこの出来事を取り上げた、アイルランド出身ロック・バンド「U2」の楽曲"Sunday Bloody Sunday"が使用されている。物悲しいメロディ・ラインと悲痛な歌詞が頭の中を巡り続けている。

    ● 製作 : Bórd Scannán na hÉireann
    ● 配給 : N/A
    ● 公開 : 2002年 (アメリカ)
    by movis | 2008-01-24 23:46 | ドラマ