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    蟲師
    ● 蟲師 [日本 / 2007年]

    蟲師_b0055200_0324910.jpg漆原友紀の人気コミック『蟲師』、初の実写化作品。100年前の日本を舞台とした不気味で幻想的な世界観は、実写化されてもなお脈々と息づいている。しかし、原作の再現、オリジナリティの発揮という二極のバランスを上手く保てているかと問われれば……。



    監督は、「AKIRA」「スチームボーイ STEAMBOY」の大友克洋。原作は、漆原友紀の『蟲師』。「銀蠱(ギンコ)」役は、オダギリジョー。「ぬい」役には、江角マキコ。「虹郎」役には、大森南朋。「淡幽」役には、蒼井優。「庄屋夫人」役には、りりィ。「たま」役には、李麗仙。「真火」役には、守山玲愛。「真火の母」役には、クノ真季子。「ヨキ」役には、稲田英幸。

    "蟲を感じたら お知らせください。"
    およそ遠しとされしもの。生命そのものに近きもの。動植物とは違うとおぼしきもの。古くからヒトはこれらを畏れ、"蟲"と呼んだ。蟲を調査し、時に蟲の影響を受けてしまった人々を救う者たちがいる。「銀蠱(ギンコ)」もまた、日本を旅する"蟲師"のひとりであった。ある時、「銀蠱(ギンコ)」のもとに蟲の力を文字に封じる女性「淡幽」の身体に変異があらわれた、との文が届いて…。


      原作は、月刊アフタヌーン誌にて隔号連載の漆原友紀による人気コミック『蟲師』。アニメ化に次ぎ、今度はオダギリジョーを主演として実写映画化された。『蟲師』は、100年前の日本という設定のもと、"蟲"と"蟲師"の「銀蠱(ギンコ)」が織り成す、心悲しくも幻想的な物語である。おとぎ話とも怪談ともとれぬ独自の世界観が人気を呼んだ。

      コミックからの実写映画化ともすると、自ずと作品への期待は、いかに原作の世界観を壊さずに、強いてはそれ以上を魅せてくれるかどうか、に向く。この点においては、感服であった。明度とコントラストを高くおく色調は、原色が強く映え、黒が深く沈む。"蟲"が潜む異様な世界は、実写化されてもなお、不気味で神秘的である。

      原作『蟲師』は一話完結で物語が描かれる。「銀蠱(ギンコ)」は様々な人や蟲と出会い、別れていく。そういった独特のスピード感の中で、読者は"蟲師"とは何か、「銀蠱(ギンコ)」とは何者かを手探っていく。本作は、そうした数あるエピソードの中から数話がピックアップされ、それぞれがリンクしていくのだが、本作が画竜点睛を欠いている気がしてならないのはこれに原因があるように思えた。映画化にともなってアレンジが施されているとはいえ、原作の再現を保とうとし、映画としてのオリジナリティをも発揮しようとし、結果、半端な印象が拭えないのである。オダギリジョー演じる「銀蠱(ギンコ)」が意外にも味があっただけに、この点が非常に残念であった。

      ところで、本作の海外向けタイトルは「Bugmaster」と名付けられている。たしかに"蟲"は"ムシ"だが、"Bug"と言われるといささか納得し切れない。そんなことに思いを馳せているうちに、「蟲師」のような作品と日常的に出会える日本がいとおしくなった。古き日本の持つ不思議な雰囲気、微妙なニュアンスを表現できる日本語。実に奥ゆかしい。

    ● 製作 : 東北新社
    ● 配給 : 東芝エンタテインメント
    ● 公開 : 2006年9月8日 - イタリア(ヴェネチア国際映画祭)
    by movis | 2008-02-06 00:39 | 邦画