Top
MOVIS
one for all, all for one
Will Be Next to ...
  • LIE TO ME 嘘の瞬間 1st season
  • LIE TO ME 嘘の瞬間 2nd season
  • アマルフィ 女神の報酬
  • ターミネーター サラ・コナー クロニクルズ 1st season
  • ターミネーター サラ・コナー クロニクルズ 2nd season
  • インセプション
  • 最近のエントリ
    検索
    カテゴリ
    タグ
    タイトル別カテゴリ
    ■ 音順カテゴリ


    ■ 特集
    映画で音楽を聴く

    ■ 公開年度別カテゴリ

    sorry...
    restorin' soon ...
    最新のトラックバック
    ワンピースのこのセリフに..
    from 脳挫傷による見えない障害と闘..
    252生存者あり(テレビ..
    from 単館系
    Blu-ray バックド..
    from VAIOちゃんのよもやまブログ
    FRINGE シーズン1
    from piece of life ..
    コラテラル(55点)評価:△
    from 映画批評OX
    『ある日どこかで』観てほしい
    from 映画のブログ
    ps3TERMINATO..
    from 家電逸品
    アルマゲドン
    from Addict allcine..
    ターミネーター2
    from 映検つながるブログ
    バンテージ・ポイント
    from 映画、言いたい放題!
    救命病棟24時
    from 救命病棟24時
    ハッピーフライト
    from ピースのAMEBLO CA..
    ハッピーフライト
    from 映画、言いたい放題!
    バッファロー'66
    from Addict allcine..
    『ジャンパー』を観たぞ〜!
    from おきらく楽天 映画生活
    ジャンパー(感想120作..
    from 別館ヒガシ日記
    スパイダーウィックの謎
    from 映画、言いたい放題!
    真夏のオリオン
    from Diarydiary!
    真夏のオリオン
    from 橋本甜歌 前略 画像
    グラン・トリノ
    from Diarydiary!
    最新のコメント
    > ムーさん なか..
    by movis at 03:46
    私も、そのブログの読みま..
    by mnstr_movie at 20:47
    > ムーさん ども..
    by movis at 14:32
    どうもどうも!山形の遊び..
    by mnstr_movie at 12:57
    > 台湾人さま は..
    by movis at 00:09
    リチャード・チェンバレン..
    by 台湾人 at 00:16
    > 鍵コメントさま ..
    by movis at 03:42
    > samurai-ky..
    by movis at 01:23
    「眼下の敵」を筆頭に"潜..
    by samurai-kyousuke at 09:34
    > Jimさん は..
    by movis at 12:19
    一年ほど前に飛行機の中で..
    by Jim at 22:51
    > ならぢゅん さん ..
    by movis at 06:39
    Youth-Kさま、トラ..
    by ならぢゅん at 12:06
    > samurai-ky..
    by movis at 02:02
    基本的には娯楽作品が好き..
    by samurai-kyousuke at 23:08
    > samurai-ky..
    by movis at 15:52
    ロイ・バッデイ(ルトガー..
    by samurai-kyousuke at 01:03
    > samurai-ky..
    by movis at 23:33
    さすがにフランク・ダラボ..
    by samurai-kyousuke at 20:30
    > samurai-ky..
    by movis at 00:14
    フォロー中のブログ
    その他のジャンル
    ファン
    記事ランキング
    ブログジャンル
    画像一覧
    リンク
    カテゴリ:サスペンス / ミステリー( 30 )
    フリンジ / Fringe 1st season
    ● フリンジ / Fringe 1st season [TV / アメリカ / 2008年-2009年]
     
    知的でクールな雰囲気漂う作品だが、コミカルな要素もあり。超常的な事件や出来事を実証してしまう、という独創的なアプローチを採用するフィクションサスペンス。突っ込みどころは満載だが、次のエピソードを待ち遠しいと思わせる演出はうまいので、ハマれば中毒性は強い。

    b0055200_2125359.jpg

    製作総指揮には、海外ドラマ"LOST"シリーズのJ・J・エイブラムス、ブライアン・バーク、ジェフ・ピンクナー、"トランスフォーマー"シリーズで脚本を手掛けたアレックス・カーツマン、ロベルト・オーチーら。「オリビア・ダナム」役には、アナ・トーヴ。「ピーター・ビショップ」役には、"飛べないアヒル"シリーズのジュシュア・ジャクソン。「ウォルター・ビショップ」役には、「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」のジョン・ノーブル。「フィリップ・ブロイルズ」役には、海外ドラマ"LOST"シリーズのランス・レディック。「ニーナ・シャープ」役には、「バイバイ、ママ」のブレア・ブラウン。「アストリッド・ファーンズワース」役には、「レッスン!」のジャシカ・ニコール。「チャーリー・フランシス」役には、海外ドラマ"OZ/オズ"シリーズのカーク・アセヴェド。「ジョン・スコット」役には、海外ドラマ"ボストン・リーガル"シリーズのマーク・ヴァレー。

    "Seek Answers"
    ボストン、ローガン国際空港に大型の旅客機が緊急着陸した。生存者はいない。機内の様相は異様を極めた。現場に駆けつけたFBI捜査官「オリビア・ダナム」は、捜査組織間の"連絡係"として事件の捜査に加わるが、件に関わる捜査活動中、「オリビア」の良き相棒「ジョン」が重傷を負ってしまう。その症状は、ボストンで起きた旅客機事件の被害者の症状と酷似していたのだった。事件解決の糸口を掴むため、「ジョン」の命を救うため、「オリビア」は連邦のデータベースで事象に詳しい専門家を探す。どのようなキーワードで検索をかけても必ず1人の男に辿り着く。彼は、"アインシュタインの後継者"とも謳われている「ウォルター・ビショップ」であった。ところが彼は、17年間とある施設に収容されていた。彼の知識を捜査に活かすため、「オリビア」は「ウォルター」と疎遠になって長い、息子の「ピーター」を捜し出さなければならなかった…。


     かっこいいジャケットに惹かれて、衝動的に観賞。本作はFOX放送にて、2008年から翌2009年にかけて全20話で放送された。2010年6月現在、アメリカではシーズン2の放送が終了したところであり、シーズン3の製作も決定しているようだ。製作総指揮には、日本でも話題となった海外ドラマ"LOST"のJ・J・エイブラムスを筆頭として人気プロデューサが名を連ねている。知的でクールな作風が漂うコマーシャルが展開されているが、コミカルな演出も少なくない、おっとりとしたサスペンス。疾走感には欠くドラマシリーズだが、作品の雰囲気と相性が良ければ、次のエピソードが待ち遠しいと思えるだろう。

     "fringe"とは外縁や周囲といった意味のある言葉であり、本作のタイトルは"ニセモノの科学"や"科学と認められていない科学"といった意味のある"fringe science"に由来する。FBI捜査官「オリビア・ダナム」は、次々と発生する奇異で不気味な"パターン"と呼ばれる事件に対し、"fringe science"分野の権威「ウォルター・ビショップ」と、彼の息子でありIQ190の頭脳を持つ「ピーター・ビショップ」の協力を得ながら、その解決に挑んでいく。奇異で不気味な出来事が巻き起こる作品といえば「Xファイル」や「トワイライト・ゾーン」といったTVシリーズが有名だが、本作がこれらと決定的に違うのは、劇中の世界に限定されるものの、起きた事象に対して実証が許される点だ。フィクションだと分かっていても、私みたいな素人からすると「あってもおかしくなさそう」と思ってしまうような、本作のアプローチは非常にユニーク。「Xファイル」や「トライライト・ゾーン」が、得たいの知れない、言い様のない恐怖を煽ってくるのに対して、本作は"パターン"自体であったり、不可解で猟奇的な人間性であったりの"おぞましさ"が恐い。
     
     本作の見所は、"パターン"の独創性とそこに潜む陰謀の見せ方、そして"FRINGE"チームのコミカルな交流である。まず"パターン"について、グロテスクを躊躇せずに見せてくるので、食事中の観賞はオススメできないのだが、その出来事は毎話バラエティに富んでいて独創的。中にはチラホラとモチーフが垣間見えるような事件もあるが、それでも発想には脱帽する。基本的に事件は1つのエピソードで完結するが、ところどころに陰謀を予感させる伏線が張ってあるので、次のエピソードを待ち遠しいと思わせる演出もうまい。

     "FRINGE"チームについて、「ウォルター」が、「オリビア」、「ピーター」、「アストリッド」を巻き込んで、彼らの調子を狂わせていくコミカルな交流が面白い。「ウォルター」は17年間自由が奪われて、薬物治療を行っているという設定があって、事件解決に繋がる知識はあるのに、それがなかなか思い出せなかったり、思い出しても不安定な言動で周囲を困らせたりする。何かを思い出したと思えば、決まって食べたいもののメニューやレシピであり、最初は困惑していた「オリビア」も次第に喝を入れ始める始末だ。そんな彼を一番理解し、いわば"通訳"である「ピーター」が倦厭していた「ウォルター」の父親としての思いを知り、次第に心を通わせていく様は心温かい。
     
     シーズン1の終盤は突如として語られる世界が拡大するので、物語をどうまとめていくのか、"パターン"に更なるアイデアがあるのか、といった続編に対する不安はある。しかし、こうした展開の加速はJ・J・エイブラムスの作品には付き物でもあるので、期待も残しておきたいところだ。1,000万ドルが注ぎ込まれたとされるパイロット版の印象で、本作の好き嫌いがある程度見通せるだろう。粗を探せば、どこまでも突っ込みどころが尽きないものの、謎が謎を呼ぶ展開を読ませない演出には秀でているので、雰囲気にハマれば中毒性は強い。
     
    ● 製作代表 : Bad Robot
    ● 日本配給 : N/A
    ● 世界公開 : TV / 2008年09月09日 - アメリカ
    ● 日本公開 : N/A
    [PR]
    by movis | 2010-07-05 02:25 | サスペンス / ミステリー
    ワルキューレ / Valkyrie
    ● ワルキューレ / Valkyrie [アメリカ / ドイツ / 2008年]

    b0055200_11444310.jpg第二次大戦時のドイツで、"ワルキューレ計画"と呼ばれたヒトラー暗殺計画に参画した男たちを描く哀感のサスペンス・アクション。やや淡白な性格を感じ得る本作であるが、登場人物たちのコミュニケーションや描かれる出来事の一部始終に緊迫感がある、悲しき物語だ。



    監督は、「ユージュアル・サスペクツ」のブライアン・シンガー。「クラウス・フォン・シュタウフェンベルク」役には、"ミッション: インポッシブル"シリーズのトム・クルーズ。「ヘニング・フォン・トレスコウ」役には、「フランケンシュタイン」のケネス・ブラナー。「フリードリヒ・オルブリヒト」役には、「ラブ・アクチュアリー」のビル・ナイ。「フリードリヒ・フロム」役には、「フィクサー」のトム・ウィルキンソン。「ニーナ・フォン・シュタウフェンベルク」役には、カリス・ファン・ハウテン。「オットー・エルンスト・レーマー」役には、トーマス・クレッチマン。「ルートヴィヒ・ベック」役には、テレンス・スタンプ。「エーリッヒ・フェルギーベル」役には、エディ・イザード。「ヴェルナー・フォン・ヘフテン」役には、ジェイミー・パーカー。「アルブレヒト・メルツ・フォン・クイルンハイム」役には、クリスチャン・ベルケル。

    "Many saw evil. They dared to stop it."
    第二次世界大戦、ドイツの「クラウス・フォン・シュタウフェンベルク」大佐はチュニジア戦線で第10装甲師団を率いていた。1943年の春、ドイツの配色が濃厚となった状況で「シュタウフェンベルク」は戦闘に困憊した兵士を配慮し、情報を操作することで戦線撤退を画策。しかし、ウォーホークの機銃砲火に遭い、一命は取り留めたものの左目、右手首、左薬指、左小指を失う重傷を負った。戦況不安も手伝い、反「ヒトラー」派が拡大する中、「シュタウフェンベルク」はドイツ帰国後、予備軍司令部に転属となる。彼は「ヒトラー」の暗殺計画が失敗したことで"ゲシュタポ"に捕らえられた「ハンス・オスター」に代わりとなる、反「ヒトラー」派の活動メンバーとして白羽の矢が立てられたのであった。「ヒトラー」亡き後の政治運営、そして家族。計画に対して不安を抱く「シュタウフェンベルク」を導いたのは、ワーグナーの『ワルキューレの騎行』だった…。


      第二次世界大戦時、ヒトラーの暗殺計画の指揮を執り、実在したドイツ人将校「クラウス・フォン・シュタウフェンベルク」を描くサスペンス・ドラマ。監督は、登場人物のコミュニケーションにスリルや緊張感を吹き込むことに長け、「ユージュアル・サスペクツ」や「スーパーマン リターンズ」などの代表作が挙げられるブライアン・シンガーだ。さすがは彼のこと。本作にも隙はない。

      1944年、"ワルキューレ計画"と呼ばれたドイツ軍将校たちによるヒトラー暗殺計画実行の指揮を執ったクラウス・フォン・シュタウフェンベルクと、計画の行方を描く。恥ずかしいことに"ワルキューレ計画"という事実を知らなかったため、作品がどれほど事実を再現しているのかは後学と比較するほかないのであるが、ヘニング・フォン・トレスコウ、フリードリヒ・オルブリヒト、ヴェルナー・フォン・ヘフテンら、出来事のキーパーソンは各自のエピソードとともにしっかりと描かれていた。事実を描く作品を観賞する上でのありがちなストレスとして、登場人物の名称が覚えきれなかったり、彼らの役目やエピソードの整理が複雑で難しかったり、といったことがあるが、本作はその点、そうした作業が非常に易しい。ブライアン・シンガーの業か、俳優陣の腕か、登場人物個々にしっかりとした個性が描かれているからだが、思わず舌を噛んでしまいそうなドイツ独特の複雑な人名にまるで色が浮かぶかのように、『ああ、あの人のことを言っているんだな』と解釈できてしまうニュートラルさが不思議であった。

      さて、いくら歴史に疎い私とて、ヒトラーがどのように終焉を迎えたか、くらいは知っている。ともすれば、本作のエピローグは必然的に察しがついてしまうだが、反ヒトラー派のドイツ軍将校たちが画策する"ワルキューレ計画"やそこに至るまでのクーデター計画遂行の様子は非常に緊迫感がある。火薬を使った動的なシーンやカメラワークなど、ヴィジュアルがスリルを煽ってくることもひとつであるが、ひやひやとするようなコミュニケーションを絶妙なバランスで描くシンガー節が冴えていることが大きい。歴史を忘れ、本作には事実ではない事実が描かれているのではないか、と勘繰ってしまうほどひとつひとつの出来事がハラハラと展開していく。ともあれ、事実こそがドラマ的でもある。「シュタウフェンベルク」やその周囲には予期せぬ障害がいくつも発生するが、どうも脚色ではないようだ。作品に帯びた緊迫感の根源は"ワルキューレ計画"の事実全容とブライアン・シンガーの作風との相性が最適だったことにあるように思う。

      スピーディなサスペンス・アクションとして作品が成功してしまっているが故に、史劇として観る本作が淡白にまとまってしまっている印象も否めないのだが、ある意味では勧善懲悪の概念が排除され、客観的に事実を捉えた作品ということもできる。それでいて私のように後学で"ワルキューレ計画"の事実を追った身からすると、文字の一片一片に本作のシーンが蘇り、その行く末に胸が締め付けられるような思いに駆られた。心を軽く、二度、三度観賞できる、といったものではないが、戦火に生きた男たちの決意や覚悟を熱く描き、悲史を静かに伝えるビターで格調高きドラマであった。
     
    ● 製作代表 : United Artists
    ● 日本配給 : 東宝東和
    ● 世界公開 : 2008/12/25 - アメリカ
    ● 日本公開 : 2009/03/20
    [PR]
    by movis | 2009-05-30 11:50 | サスペンス / ミステリー
    ワールド・オブ・ライズ / Body of Lies
    ● ワールド・オブ・ライズ / Body of Lies [アメリカ / 2008年 / PG-12]

    b0055200_2249048.jpg本作の公開は2008年の年末。この一年の締めくくりに至上の作品を観た。デリケートな情報戦の綱渡りのような緊迫感と、過激な戦闘シーンの臨場感。加えて、登場人物の人生が見えるような語り方をする作品だ。リドリー・スコットの業に畏怖さえ…。



    監督は、「グラディエーター」「アメリカン・ギャングスター」のリドリー・スコット。「ロジャー・フェリス」役には、「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」のレオナルド・ディカプリオ。「エド・ホフマン」役には、「アメリカン・ギャングスター」のラッセル・クロウ。「ハニ・サラーム」役には、「スターダスト」のマーク・ストロング。「アイシャ」役には、ゴルシフテ・ファラハニ。「バッサーム」役には、「マリア」のオスカー・アイザック。「ガーランド」役には、「エイゼンシュテイン」のサイモン・マクバーニー。「アル・サリーム」役には、アロン・アブトゥブール。「オマール・サディキ」役には、「キングダム/見えざる敵」のアリ・スリマン。

    "Trust no one. Deceive everyone."
    ヨルダンを拠点にして、欧米で無差別テロを繰り返す組織の首謀者「アル・サリーム」を捕らえるため、「ロジャー・フェリス」はイラクにいた。CIAエージェントの彼は、中東で常に死の危険を伴いながら、必死の工作活動を繰り返していく。CIAのベテラン・エージェント「エド・ホフマン」は、ラングレーのCIA本部にてスパイ衛星から送信される「フェリス」の行動を監視している。「フェリス」にとって、上司である「ホフマン」の指示は絶対であったが、危険な現場にいる「フェリス」と、安全が確保された場所にいる「ホフマン」の間には温度差が生じ、対立を深めていく。やがて「フェリス」は組織に関する重要な資料の所在を掴み、敵陣への進入を試みる。極秘資料こそ入手できたが、「フェリス」は友人としても慕っていたパートナーを失い、自らも重傷を負う。しかし、「ホフマン」はまるで何事もなかったかのように、次の任務を「フェリス」に言い渡すのであった…。


      原作は、ワシントン・ポスト紙のコラムニスト、デヴィッド・イグネイシャスの同名小説。「アメリカン・ギャングスター」ではギャング作品に挑み、新たな一面を見せたリドリー・スコットが、「ブラックホーク・ダウン」を彷彿とさせるようなリアリティのある中東の戦場を舞台に、緊迫感のあるスパイ・サスペンスとして大成させた。2008年、公開は年末に差し迫った時期であったが、この年に上映された作品の中では最も骨太でシリアスな佳作であった。

      何よりもまず、映像に臨場感が溢れている。イラクやヨルダンといった中東の国々を舞台に繰り広げられる銃撃戦やカーチェイスは極めてダイナミックであるし、アラビックな情緒を殺さず、真に迫るかのような緊迫感や息苦しさがスクリーンを駆け巡る。もともと、リドリー・スコットは火薬を用いるような大規模の戦闘描写に定評があるが、本作だけでも合点がいく。銃火器による戦闘シーンに加え、本作が描く"情報"を巡る攻防は、知的で物静かだが手に汗握るような白熱の展開を見ることができる。

      作品の醍醐味は、こうした策略戦の中に見えてくる"信用"や"裏切り"に、言葉にしがたい哀愁が漂っている点だ。"信用"を建前に、目的の為になら"裏切り"を厭わない「フェリス」と「ホフマン」、"信用"を絶対に、"情"で周囲をコントロールする「ハニ」。CIAとGID(ヨルダン情報局)の対極とも言えるプライドが「アル・サリーム」を巡ってぶつかり合う。両者の信念は相乗効果を生むわけもなく、ジリジリともどかしい進退を繰り返し、世界を救うのは"信用"か"裏切り"か。アンバランスな「フェリス」対「ホフマン」対「ハニ」の三つ巴、対「アル・サリーム」の四つ巴の攻防は息付く暇もなく、128分間という時間を疾走していく。男臭いシーソーゲームの中に描かれる安心感は、「フェリス」も「ホフマン」も愛を注ぐ人間がいる点だ。相手も愛し方も違うが、彼らは愛を以って愁吟の信念を貫いていく。
     
      かつてはアイドルのような輝かしい扱いを受けたレオナルド・ディカプリオは、いまや熟達した演技を披露してくれる非凡な表現者だ。哀歓鋭い「フェリス」の存在があって、子供の世話をしながら冷酷な指令を口にする「ホフマン」の不気味さや、有余涅槃を感じさせる「ハニ」の豪気さが、憎いまでに映えてくる。テロとの闘いをテーマに選ぶ作品は数多いが、ハラハラとするようなデリケートな情報戦の描き方が妙。そして作品に迫力を与えておきながら、登場人物の人生そのものを描いてしまうリドリー・スコットという人間の業がこわい。本作が持つ圧倒感に、観賞後もしばらくは高揚感が消えなかった。
      
    ● 製作代表 : De Line Pictures
    ● 日本配給 : Warner Bros.
    ● 世界公開 : 2008年10月05日 - アメリカ(ニューヨーク/プレミア)
    ● 日本公開 : 2008年12月20日
    [PR]
    by movis | 2009-01-05 23:03 | サスペンス / ミステリー
    ザ・シークレットサービス / In the Line of Fire
    ● ザ・シークレットサービス / In the Line of Fire [アメリカ / 1993年]

    b0055200_4275719.jpgクリント・イーストウッド演じる「ホリガン」の人間味と、ジョン・マルコヴィッチ演じる「ミッチ」の不気味さのコントラストが鮮やかな作品。サスペンス・アクションとして、展開に新鮮味はないものの、細部まで丁寧に作り込まれているため、見所には困らない。



    監督は、「アウトブレイク」「エアフォース・ワン」のウォルフガング・ペーターゼン。「フランク・ホリガン」役には、"ダーティハリー"シリーズのクリント・イーストウッド。「ミッチ・リアリー」役には、「マルコヴィッチの穴」のジョン・マルコヴィッチ。「リリー・レインズ」役には、"メジャーリーグ"シリーズのレネ・ルッソ。「アル・ダンドゥレア」役には、「マグノリアの花たち」のディラン・マクダーモット。

    "An assassin on the loose. A president in danger.
     Only one man stands between them..."
    アメリカ合衆国所属のシークレットサービス・エージェント「フランク・ホリガン」には、深い自責の念が刻み込まれている。それは、1963年11月、ダラスでジョン・F・ケネディを救えなかったことに他ならない。ストイックを貫く性格もあって、「ホリガン」は一匹狼にならざるを得ず、唯一の相棒は臆病で頼りのない「アル」だけであった。現職大統領の再選キャンペーンが賑わいだした頃、ホワイトハウスに大統領の暗殺脅迫が飛び込む。やがて「ホリガン」は殺し屋「ミッチ」の存在を嗅ぎ付ける。しかし、「ミッチ」は「ホリガン」の過去をジワジワとえぐり、挑発し始めるのであった…。


      要人警護やテロ防止のための捜査などを任務とするアメリカの公的機関"シークレットサービス"に焦点を当てた、サスペンス・アクション作品。演技のみならず、監督、製作、音楽と多彩な才能を併せ持つクリント・イーストウッドが、悲しい過去を背負う熟年のシークレットサービス・エージェントを生々しく演じた。

      そのようにして映画制作にも長けたクリント・イーストウッドが主演として演技に集中しているためか、サスペンスやアクションの要素が王道を行く素直な作品であった。癖なく爽快なカタルシスを与えるペーターゼンの持ち味が発揮された一作と言い換えることもできるが、不遇にも1990年初頭においてのサスペンス・アクション作品には本作と同様に"お決まり"な展開を迎える作品が多く、鮮明な印象が残りにくい仕上がりとなってしまっている点が唯一残念である。

      しかしながら、「ホリガン」という人間の内面を鋭くえぐっているところに作品の面白さがある。「ホリガン」は1963年11月のダラスでジョン・F・ケネディの警護に当たっていた、という設定を与えられているが、このアメリカ史上の悲劇を物語とリンクさせることで、彼が抱える自責の念をうまく表現している。さらには"シークレットサービス"という馴染みのない警察機関の採用をきわめてシンプルに説得することにも成功した。この現実の出来事は本作の本流ではないが、「ホリガン」の心の葛藤や「ミッチ」の挑発といった物語の鍵となって重要な機能を担っている。

      「ホリガン」と敵対して描かれる殺し屋「ミッチ」も独特の強烈な存在感を放つ。第66回アカデミー賞の助演男優賞ノミネートという功績にも表れているが、ジョン・マルコヴィッチの奇奇怪怪たる好演振りは、イーストウッドを喰わんとするインパクトがある。非情で冷静な「ミッチ」の不気味さは、人間味のある「ホリガン」との対峙によってますます醸成され、エピローグに向けて息を呑むような緊張感を漂わせている。

      1930年生まれのイーストウッドが歳相応の味のある演技に徹底している点にも触れておくべきだろう。「ホリガン」は自動車パレードの警護で息切れを隠せない。世代交代のプレッシャーをひしひしと感じても、報いを求めて衰えた身体に鞭を打つ。こんな描き方をされては、「ホリガン」の肩を持たないわけにはいかず、善悪がはっきりと分かれた構図であるものの、白々しさはなく哀愁すら感じる。サスペンスとして作品はスマートに決まっているが、こうした人間の奥深い部分も丁寧に描かれていて、見所には困らない作品だ。

    ● 製作代表 : Columbia Pictures Corporation
    ● 日本配給 : Columbia TriStar Films
    ● 世界公開 : 1993年07月09日 - アメリカ
    ● 日本公開 : 1993年09月15日
    [PR]
    by movis | 2008-11-29 04:33 | サスペンス / ミステリー
    サブウェイ・パニック / The Taking of Pelham One Two Three
    ● サブウェイ・パニック / The Taking of Pelham One Two Three [アメリカ / 1974年]

    b0055200_132222.jpg地下鉄がハイジャックされる、という現実味を捨てきっていない日常的な世界観。派手な作品ではないが、シンプルで、アイデアは緊張感を帯びていて、ウィットに飛んだジョークを湛えた、シックなサスペンス。ウォルター・マッソーとロバート・ショウの熱演にも注目。



    監督は、「地球爆破作戦」「白熱」のジョセフ・サージェント。「ザカリー・ガーバー」役には、「恋人よ帰れ!わが胸に」のウォルター・マッソー。「ブルー/バーナード・ライダー」役には、「スティング」「JAWS/ジョーズ」のロバート・ショウ。「グリーン/ハロルド・ロングマン」役には、「サイコ」「ティファニーで朝食を」のマーティン・バルサム。「グレー/ジョー・ウェルカム」役には、「プリティ・ウーマン」「コレラの時代の愛」のヘクター・エリゾンド。「ブラウン/ジョージ・スティーヴァー」役には、アール・ヒンドマン。「フランク・コレル」役には、ディック・オニール。「デニー・ドイル」役には、ジェームズ・ブロデリック。「リコ・パトローネ」役には、ジェリー・スティラー。

    "Everyone read it. Now you can live it."
    ニューヨーク、地下鉄ペラム駅。人々の乗降を待つ123号に、帽子、眼鏡、コートという着衣にヒゲをたくわえた中年男性が乗り込む。この地下鉄が駅に停車するたび、彼と似たような風貌の男性が乗り込んできた。4番目に乗り込んできた「ブルー」と呼ばれる男は、おもむろに拳銃を運転手に向けたのであった。ニューヨーク地下鉄公安局の警部補「ザカリー・ガーバー」は、東京を走る地下鉄会社の重役たちの応対に追われていた。その折、59丁目南行きの123号がハイジャックされ、乗客が人質にとられたことを知る。100万ドルの身代金を用意すること、期限以降は1分毎に人質を射殺すること。犯行グループの条件を聞いた「ガーバー」は…。


      アメリカ出身の作家ジョン・ゴーディによる同名ベストセラー作品を、役者としても活躍したジョセフ・サージェントが映画化。「マイ・ボディガード」や「デジャヴ」のトニー・スコットとデンゼル・ワシントンのコンビで、同作品のリメイクが計画されている。ウォルター・マッソーとロバート・ショウを主演に迎え、質朴ではあるが、シックでユニークなサスペンスに仕立て上げた。

      作品は、きわめてシンプルである。ペラム駅を発った地下鉄は、あれよあれよとハイジャックされてしまう。この手の作品によく描かれる、派手な銃撃戦や難解巧妙な伏線は見受けられない。犯行グループと公安当局の二極化が本作をわかりやすくさせている。そして、閉鎖感が溢れている。奪われた地下鉄には非常灯が細々と照っているだけであるし、公安本部には無秩序に通信機が置かれ、職員の往来が激しい。そういった意味では、あまり現実離れしていない世界観というのはひとつ大きな魅力である。本作のロケは、実際にニューヨークの地下鉄で実施されたが、模倣犯行防止のため、ハイジャック対策の保険がかけられたという。

      質朴とも思える、こうした雰囲気でありながらも、客観を貫き、シリアスを排除しているからおもしろい。物語は公安と犯行グループを中心に、人質や地下鉄職員などの視点も描かれているものの、善悪の主張はなく、対等に描かれている。それぞれの視点にもさまざまな人間がいて、感情移入を容易に許さないため、公安と犯行グループの知恵比べを安心して楽しむことができる。本作の緊張感は、彼らの交渉の模様と、犯行グループがいかにして閉鎖空間を脱するかにある。シンプルな作品だという印象が強く残るものの、実はプロットは緻密に構成されている。

      そして、ウィットに飛んだジョークもかかせない。物語のシンプルさ、緊張感を与えるアイデア、そしてこのジョークがスパイスとして効いて、シックな作品に仕上がった。例えば、至近の作品として「スティング」と比較すると、派手さには欠けるけれども、娯楽作としてもサスペンスとしても立派に機能している。安定したバランス感覚を保って、作品が描かれているからこそ、エピローグも許せてしまうのだ。

    ● 製作代表 : Palladium Productions
    ● 日本配給 : United Artists
    ● 世界公開 : 1974年10月02日 - アメリカ
    ● 日本公開 : 1975年02月??日
    [PR]
    by movis | 2008-06-08 01:36 | サスペンス / ミステリー
    フィクサー / MICHAEL CLAYTON
    ● フィクサー / MICHAEL CLAYTON [アメリカ / 2007年]

    b0055200_2302270.jpg社会派要素を含みながら、正統で、静かで、シックにサスペンスを魅せてくれる作品。常に映像から伝わる事実を整理して理解しなければならず、易しい作品とは言えないが、駆け引きは非常に緊張感がある。観る人を選ぶ作品だと思うが、私にとっては傑作であった。



    監督は、"ジェイソン・ボーン"シリーズで脚本に携わってきたトニー・ギルロイ。製作総指揮には、"オーシャンズ"シリーズのスティーヴン・ソダーバーグ、「イングリッシュ・ペイシェント」のアンソニー・ミンゲラ、ジェームズ・ホルト。製作総指揮と「マイケル・クレイトン」役には、ジョージ・クルーニー。製作と「マーティ・バック」役には、シドニー・ポラック。「アーサー・イーデンス」役には、「バットマン ビギンズ」のトム・ウィルキンソン。「カレン・クラウダー」役には、「コンスタンティン」のティルダ・スウィントン。

    "The Truth Can Be Adjusted"
    在職15年を経ても昇格の機会を見失い、従兄弟の「ティミー」が積んだ8万ドルの借金を肩代わりしなければならない。公私に苦悩を抱えた「マイケル・クレイトン」は、ニューヨークに社を構える大手法律事務所"ケナー・バック & レディーン"に所属するフィクサーであった。「クレイトン」の同僚である敏腕弁護士「アーサー」は、農薬メーカー"U.North"が抱える3,000億円の集団訴訟を担当していた。しかし、突然、彼の精神が倒錯してしまう。騒然とする事態を重くみた事務所の経営者「マーティ」は、「アーサー」の元へ「クレイトン」を送り込むのであったが…。


      "ジェイソン・ボーン"シリーズのトニー・ギルロイを筆頭に、スティーヴン・ソダーバーグ、ジェームズ・ホルト、アンソニー・ミンゲラら敏腕クリエーターが名を連ねる。また、製作総指揮には「マイケル・クレイトン」役のジョージ・クルーニー、製作には「マーティ・バック」役のシドニー・ポラックが参加している。両名の演技力と製作能力に対する高い評価は、今に始まったことではないけれども、本作もまた、彼らの多彩な才能が如何なく発揮されている作品のひとつといえる。2007年度、第80回アカデミー賞では7部門でノミネートを受けた。監督賞、作品賞、助演男優賞では、同年ノミネート作品の「ノーカントリー」にオスカーを奪われた形となったが、助演女優賞には「カレン・クラウダー」役で出演した、ティルダ・スウィルトンが選ばれた。

      3,000億円をかけた集団訴訟、事件に影を潜める陰謀と"フィクサー"の存在、作品は社会派要素とサスペンス要素を含んでいるものの、「エリン・ブロコビッチ」や「インサイダー」などの社会派作品が比較対象にならないのは、陰謀を真っ向から捉えた、極めて正統で、サスペンスを重んじた作品だからである。そうとは言え、やや分かりにくい作品であることは間違いない。プロットや登場人物の設定が精巧を誇っているが、映像から得た事実の整理と理解を繰り返していかなければ、一気に距離を置かれてしまう。漫然と「マイケル・クレイトン」の姿を追うだけでは、陰謀の実体ですら見過ごしてしまうかもしれぬ危うさを秘めている。しかし、これは物語の軸が見えてくれば、非常に緊張感、逼迫感のあるサスペンスを楽しめる、ということの裏返しだ。

      さて、ストーリー上では補助的ではあるものの、「クレイトン」の私生活に対する苦悩というのも見所のひとつである。"フィクサー"という影のある職務を遂行しながらも、決して人間を超越しているわけではない。そして、人間らしさが生々しく描かれている、という点は「クレイトン」にだけ当てはまるわけではない。「アーサー」が精神を倒錯させてしまう由縁というものも、きわめて人間的である。そういった意味では「カレン・クラウダー」を演じたティルダ・スウィルトンがオスカーを勝ち取った理由というのも、勝ち気なビジネス・ウーマンであっても精神的に非凡ではない、という人間味を表現していたからではないか、と思う。物語のステージは雲の上であるものの、駆け引きを織り成す人間そのものは、共感を誘うレベルまで緻密に描かれていた。

      かくいう私は、持ちうる頭をできるだけ使ったことが功を奏したか、作品を楽しめた口である。本作はサスペンスの傑作のひとつであると思う。ただ、観る人は選ぶだろう。大きな陰謀に対してのリアクションが、あまりに静かで、シックであるからだ。だからこそ、余韻がいつまでも頭を捕らえている。エピローグの「マイケル・クレイトン」は、目で何を捉え、頭で何を思うのか。

    ● 製作代表 : Samuels Media
    ● 日本配給 : MOVIE-EYE
    ● 世界公開 : 2007年8月31日 - イタリア(第64回ヴェネチア国際映画祭)
    ● 日本公開 : 2008年4月12日
    [PR]
    by movis | 2008-04-20 23:04 | サスペンス / ミステリー
    アメリカを売った男 / BREACH
    ● アメリカを売った男 / BREACH [アメリカ / 2008年]

    b0055200_1104861.jpgFBIを震撼させた実際のスパイ事件の実写化。物語の結末を冒頭から突きつけられてしまうけれども、ライアン・フィリップとクリス・クーパーが表現する心理戦がスリリング。緊張感がビリビリと空気を伝うようであった。もの静かな作品だが、単館上映が勿体ない…。



    監督は、「ニュースの天才」のビリー・レイ。「ロバート・ハンセン」役には、「真実の瞬間」「遠い空の向こうに」のクリス・クーパー。「エリック・オニール」役には、「カオス」「父親たちの星条旗」のライアン・フィリップ。「ケイト・バロウズ」役には、「トゥルーマン・ショー」のローラ・リニー。「ディーン・プリザック」役には、海外ドラマ"24 TWENTY FOUR"のデニス・ヘイスバート。「ジュリアナ・オニール」役には、「ハリウッドランド」のカロリン・ダヴァーナス。

    "Inspired by the true story of the greatest security breach in U.S. history"
    2001年2月18日、敏腕FBI捜査官として知られた「ロバート・ハンセン」が機密情報漏洩容疑で逮捕された。彼は長年に渡り、アメリカの国家機密情報をKGBに売っていたのであった…。FBI訓練捜査官の「エリック」は、尾行任務に飽き飽きしていた。彼を支えているモチベーションは、捜査官への昇格と妻「ジュリアナ」の存在であった。そんな折、直属の上司である「ケイト・バロウズ」に呼び出された「エリック」は、性倒錯を理由にベテラン捜査官「ロバート・ハンセン」監視の命を受ける。FBIが新設した"情報保護部"に異動となった「ロバート」の部下として、彼の動向を注視する「エリック」であったが…。


      アメリカを震撼させた実際のスパイ事件の映像化に、「ニュースの天才」を手掛けたビリー・レイが挑む。ライアン・フィリップ演じる「エリック・オニール」という人物もまた実在した元FBI捜査官であり、本作には特別顧問として製作を支援した。

      「ロバート・ハンセン」はスパイだ、という事実を真っ先に突きつけられるのだが、作品には観る者をグイグイと惹きつけるだけの力強さがあった。ミスディレクションがしかれたミステリーでも、驚愕の結末が控えたサスペンスでもないが、捜査官訓練生「エリック」とベテラン捜査官「ロバート」の心理戦が非常に巧く描かれている。その緊迫感は、まるで空気を伝ってくるかのようだった。

      クリス・クーパーが圧倒的な存在感を誇っている。「ロバート・ハンセン」の経歴について、別段丁寧な解説が用意されているわけではないが、彼の語り口や立ち振る舞いの演技に敏腕振りがよく表現されている。視線ひとつの演技で重厚さを醸し出し、恐怖を煽るクリス・クーパーという演者は怖い。与えられた任務を真っ当に遂行する誠実な「エリック」を演じたライアン・フィリップの印象も良い。作品の完成度を、この2人の主演が高めているところも認めておきたい。

      "事実は小説よりも奇なり"という言葉があるし、実話がモチーフだという断りが強い説得力ではあるが、クライマックスに向けての淡白な展開が残念なところである。序盤における冷や冷やとした緊張感、逼迫感が活き活きとしていただけに、この点が際立ってしまった。しかしながら、単館上映が非常に悔やしい作品である。「エリック」と「ロバート」の構図があるように、若手俳優ライアン・フィリップとベテラン俳優クリス・クーパーの堂々たる渡り合いは、是非ともスクリーンで観て頂きたい。

    ● 製作 : Double Agent Productions Inc.
    ● 配給 : Presidio
    ● 公開 : 2007年2月12日 - ドイツ(ベルリン・フィルム・マーケット / European Film Market)
    [PR]
    by movis | 2008-03-21 01:19 | サスペンス / ミステリー
    バンテージ・ポイント / Vantage Point
    ● バンテージ・ポイント / Vantage Point [アメリカ / 2008年]

    b0055200_8303595.jpg1つの事件を8つの視点で見せて1つの真実に集約していく。構成のアイデアにパンチ力がある。この作品の優れている点は、アクションを含ませながらも、90分という上映時間ですべてを片付けてしまうところ。独特のテンポと緊迫感ある音楽に飽きを感じる隙がなかった。



    監督は、ピート・トラヴィス。「トーマス・バーンズ」役には、「ドラゴンハート」「オーロラの彼方へ」のデニス・クエイド。「ケント・テイラー」役には、海外ドラマ"LOST"シリーズのマシュー・フォックス。「ハワード・ルイス」役には、「プラトーン」「フォーン・ブース」のフォレスト・ウィッテカー。「スワレス」役には、「オーシャン・オブ・ファイヤー」のサイード・タグマウイ。「エンリケ」役には、「オープン・ユア・アイズ」のエドゥアルド・ノリエガ。「ハビエル」役には、「ボーン・アルティメイタム」のエドガー・ラミレス。「ベロニカ」役には、「ミュンヘン」のアイェレット・ゾラー。「レックス・ブルックス」役には、"エイリアン"シリーズのシガーニー・ウィーバー。「アシュトン」役には、「スモーク」「グッド・シェパード」のウィリアム・ハート。

    "8 Strangers. 8 Points of View. 1 Truth."
    スペイン、サラマンカ。テロ撲滅を謳う国際サミットの開催に沸くこの地で、演説台に立った「アシュトン」アメリカ合衆国大統領が何者かに狙撃される。立て続けに起こった爆風が、空を裂く悲鳴と、逃げ惑う人々を消し去る。新たな歴史が刻まれようとしていた華やかな舞台は、一瞬にして黒煙と静寂に包まれた。この凄惨な事件の真実を解く鍵は、8つの異なる視点にあった…。


      監督のピート・トラヴィスは、これまでTV作品を手掛けてきた。彼の劇場デビュー作品である本作は、完成度の高いスリラーである。まず何よりも強調しておきたいのは、濃密なボリューム感をたたえていること。90分という上映時間に疑いを持ってしまうほどであった。

      1つの事件を8つの視点で見せていく、という性格から"羅生門スタイル"の採用を予想していたが、1つ1つの視点の死角を別の視点が補っていく構成であった。であるからして、ヒントが少なく、作品の結末を予想させない点に意地悪さを覚えるのだが、真相が知りたい、という欲求が頭をもたげてくる。容疑者を随所に散りばめてミスリードを誘っているため、作品にグイグイと引きずり込まれた。こうした要素があって、思わず海外ドラマ「24 TWENTY FOUR」を重ねた。

      嫌というほど同じシーンを観た後は、アクション作品の様相を呈しながら、結末に向けてストーリーが加速していく。アクションに関しては、残念ながら昨今の流行を出し抜くほどの目新しさは発見できなかったものの、思わず仰け反るような迫力がある。

      めまぐるしい展開に見失いがちであるが、キャストの顔ぶれが実に贅沢である。シガーニー・ウィーバー、ウィリアム・ハート、デニス・クエイドなどのベテランは然ることながら、「ボーン・アルティメイタム」のエドガー・ラミレスや「ミュンヘン」のアイェレット・ゾラーなど、近年の大作で"見た顔"が並んでいる。彼らの出演作品はジャンルが共通しているわけではないが、この手の作品に出演しても違和感がない、という点で絶妙な配役とも言える。それぞれが過干渉することなく、スムースな物語の進行を助けている。

      一見関係がなさそうな8つのストーリーに複雑な伏線があり、これを細やかに回収しながら1つの真実を見せていく。迫力あるアクション・シーンがある。この作品が優秀であるのは、冒頭でも述べたように、こうした要素をたった90分で片付けてしまうからである。独特のテンポと緊迫感のある音楽が手伝って、飽きを感じることなく見通すことができた。詳細なストーリーにはリアリティを感じ得ないのであるが、エンターテイメント作品として十分な質を備えた作品であった。

    ● 製作 : Original Film
    ● 配給 : Sony Pictures Entertainment
    ● 公開 : 2008年2月20日 - フィリピン/アメリカ(ニューヨーク/プレミア)
    [PR]
    by movis | 2008-03-15 08:34 | サスペンス / ミステリー
    テイキング・ライブス / Taking Lives
    ● テイキング・ライブス / Taking Lives [アメリカ / 2004年]

    b0055200_51713100.jpgなかなかスタイリッシュで、モダンな映像。作品へと一気に惹き込む衝撃のプロローグ。さぁ、魅せてくれ!というところで、あっさりと期待は砕かれて…。秀逸した点もあれど、ストーリーの映像化にやや難ありという印象。もどかしいほどに"勿体無さ"を感じる作品であった。



    監督は、「トゥー・フォー・ザ・マネー」「ディスタービア」のD・J・カルーソー。原作は、マイケル・パイの『人生を盗む男』。「イリアナ」役には、「マイ・ハート、マイ・ラブ」「Mr. & Mrs. スミス」のアンジェリーナ・ジョリー。「コスタ」役には、「トレーニング・デイ」「ガタカ」のイーサン・ホーク。「パーケット」役には、「夜になるまえに」「S.W.A.T.」のオリヴィエ・マルティネス。「ハート」役には、ドラマ"24 TWENTY FOUR"シリーズ、「スタンド・バイ・ミー」のキーファー・サザーランド。

    "He would kill to be you."
    1983年、カナダはケベック州のとある長距離バス待ち合い所。眼鏡をかけた長髪の少年「マーティン」は、モン・ローリエへのチケットを購入。座席の隣には、ギターをかかえた同じ年頃の少年「マット」が座った。自己紹介もそこそこに、不幸にもバスのタイヤがパンクしてしまう。バスの修復を見限った「マーティン」と「マット」は、中古車を購入して旅を再開させる。ギターの音色と、2人の笑い声。楽しい旅に思えた。ところが、その中古車もまたパンクしてしまう。そして、後続車が近づいていることを確認した「マーティン」は、スペア・タイヤに差し替えようと作業を進める「マット」を思い切り蹴飛ばしたのだった…。


    「U2」の"BAD"がムードを牽引しつつ、ノスタルジーに駆られるプロローグ。この作品はロード・ムービーだったのか、と思えるような爽やかな印象は、「マーティン」の奇行によってあっさりと塗り替えられてしまう。これを見せられてしまうと、後々の壮大なストーリーを期待するほかない。導入部の演出が非常に巧い。

    時間軸が一気に現在へとスライドして、いよいよアンジェリーナ・ジョリー扮する「イリアナ・スコット」の登場である。男気あふれる社会のなかで、凛とした可憐さを振りまいた。FBIという肩書きがあり、しかも女性とあって、モントリオール市警の、見た目にも屈強なオリヴィエ・マルティンス扮する「パーケット」と確執を激化させていく。それでも、心折れない"できる女性"を演じきった点で、彼女の存在感は圧倒的であり、魅力的である。映像もスタイリッシュで、おどろおどろしい事件が展開するのだが、清潔感が垣間見えた。

    しかし、こうした長所があるにも関わらず、充足感を感じ得ないし、煮え切らない。正統派のサスペンスであることに不満はなく、ミスディレクションを欲しているわけでもないが、黒幕の手口や動機の説得が非力であったり、エピローグのくどさであったりと、ストーリーから映像へ、その手段にやや問題あり、といったような印象を受けた。

    スタッフロールを眺めながら、やっぱり「U2」の"BAD"は名曲だな、と作品の余韻に浸りきらない自分に呆れつつ、それでも物足りなさを感じずにはいられなかった。

    ● 製作 : Warner Bros. Pictures
    ● 配給 : Warner Bros.
    ● 公開 : 2004年 (アメリカ)
    [PR]
    by movis | 2007-12-23 01:25 | サスペンス / ミステリー
    メメント / Memento
    ● メメント / Memento [アメリカ / 2001年]

    b0055200_4235837.jpg2回目、3回目と、尾をひくように観賞したくなる不思議な作品。プロットが精錬されており、観る度に新しい発見がうまれる。万人が納得のいく真相は存在しない。作品の意図を理解しようとすればするほど苛立つが、それはきっとこんな映画に出会ったことがないからだ。



    監督は、「インソムニア」「バットマン ビギンズ」のクリストファー・ノーラン。「レナード」役には、「L.A.コンフィデンシャル」「タイムマシン」のガイ・ピアース。「テディ」役には、「ミッドナイト・ラン」「マトリックス」のジョー・パントリアーノ。「ナタリー」役には、"マトリックス" シリーズのキャリー=アン・モス。

    "Some memories are best forgotten"
    ─起きてる。オレは「サミー」と違って、要領を得ている。ロサンゼルスで保険調査員を務めていた「レナード」は、とある出来事が原因で前向性健忘症を患ってしまう。記憶がないわけではないが、新しい記憶を忘れてしまう。命綱は"ボラロイド写真"、"メモ"であり、そして"刺青"が「レナード」に代わって、重要な記憶を司る。さぁ、「ジョン・G」はどこだ…。


    既視感を得るような不思議なプロローグは、壮絶なシーンで締めくくられる。感が鋭ければ、これだけで一気に作品の構成が見抜けてしまう。結論を見せて、その原因に遡るフラッシュバック・シーケンスの手法をとった作品だ。新しい出来事を記憶できない、前向性健忘症を患っている、という主人公の設定と、この手法の選択があって、きわめて独特で斬新であった。しかし、そこで関心に耽っていられるほど、易しい作品ではない。

    まず観賞者に課せられる作業は、時系列に物語を整理、理解することである。モノクロームに色分けされた、いわゆる "ヒント" を与えてくれるシーンが節々に挿入されるが、観賞者はつねにシーンとシーンの整合を要求される。この段階を経て、本筋を掴んだところでようやく本当の謎解きに挑める。ところが厄介なのはここからで、完全なる真相を知れるほど登場人物は饒舌でない。より事の詳細を知ろうとすればするほど、拾い上げた伏線を片手に途方に暮れてしまう。パズルに例えれば、同じ形のピースがいくつも紛れているようなものだ。全体像を捉えながら、どこにどのピースを配置すればしっくりくるのか、を観賞者自らが起草するほかないのである。

    プロットが非常に上手く練り上げられている。だからこそ、難解で奇奇怪怪とした雰囲気を誇っているにも関わらず、多くのリピーターを生んだのだろう。万人に納得できる筋が用意されていないところに苛立ちすら覚えるが、それは物語の解釈を観る側に委ねてしまう大胆な作品に出会ったことがないからに違いない。

    ● 製作 : Newmarket Capital Group
    ● 配給 : Amuse Pictures
    ● 公開 : 2000年 (フランス)
    [PR]
    by movis | 2007-12-16 14:15 | サスペンス / ミステリー