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    フェイク / Donnie Brasco
    ● フェイク / Donnie Brasco [アメリカ / 1997年]

    b0055200_3184286.jpg最近では見られないジョニー・デップのクールな演技と、"ゴッドファーザー"とは異なったマフィアを演じるアル・パチーノの共演が光る。FBI潜入捜査官がマフィアと交友を深めたための苦悩や葛藤が辛い。男の信頼や友情をかっこつけずに描いた優秀なドラマだ。



    監督は、「コレラの時代の愛」のマイク・ニューウェル。「ベンジャミン・"レフティー"・ルッジェーロ」役には、"ゴッドファーザー"シリーズのアル・パチーノ。「ドニー・ブラスコ/ジョセフ・D・"ジョー"・ピストーネ」役には、「シザーハンズ」のジョニー・デップ。「ソニー・ブラック」役には、"キル・ビル"シリーズのマイケル・マドセン。「ニッキー」役には、「恋人たちの予感」のブルーノ・カービイ。「マギー・ピストーネ」役には、「6デイズ・7ナイツ」のアン・ヘッシュ。「ティム・カーリー」役には、「ダメージ」のジェリコ・イヴァネク。

    "Donnie Brasco. Based On A True Story."
    1978年、ブルックリン。連邦捜査局が目をつけたマフィア組織を検挙するため、FBI捜査官「ジョー・ピストーネ」は潜入捜査を命じられる。組織との接触の機をうかがう「ジョー」は、一員である「レフティー・ルッジェーノ」に宝石鑑定の腕を買わせ、「レフティー」や組織のメンバーに「ドニー・ブラスコ」の偽名で周知されていく。組織の活動に目を光らせる「ジョー」の捜査成果に対する評価は高く、それを裏付けるように彼は慎重を徹底して、マフィアの一員を演じ続ける。一方で「レフティー」は、誠実で聡明な「ドニー」という弟分を得たことで、諦めかけていた昇格の夢を再燃させるようになる。「レフティー」と私情を通わせ、交友関係を築いてしまった「ジョー」は、マフィア組織のメンバという偽りの姿と、FBI囮捜査官という本来の姿の狭間で心が揺れ続け…。


      FBIの潜入捜査官として数々のマフィアを摘発した「ジョー・ピストーネ」の実話をマイク・ニューウェルが映画化した骨太な作品。最近の出演作では一風変わった配役の多いジョニー・デップだが、本作ではド真面目にFBI捜査官「ジョー」を演じている。また、"ゴッドファーザー"シリーズでは高い評価を受けたアル・パチーノが演じる、同じマフィア役でありながら雰囲気の異なる「レフティー」の奥深さは必見。

      本作は、「ドニー・ブラスコ」という偽名を使ってマフィア組織への潜入捜査を敢行する「ジョー」が、うだつは上がらぬが情に厚いマフィアの一員「レフティー」と交友を深めてしまうことで生じてしまう男たちの心の葛藤や苦悩を描いている。互いの立場の違いが心の交流の芽を摘んでしまう、という逃げ場のない哀愁を植えつけてくる手法は数々の作品でも用いられているが、実話がベースになっているという前提があって、より心象をドラマチックにさせるのだろう。

      緊迫感やセンチメンタルに溢れるエピローグに向けて、作品は重厚感たっぷりに展開していくわけであるが、ところどころにユーモアが散りばめられている点もおもしろい。ジャージ姿が似合ってしまうアル・パチーノの立ち姿が最たるものであるが、マイケル・マドセンやブルーノ・カービイの演じるマフィアたちはどこかお茶目であったりする。彼らの人間らしい一面も垣間見せておきながらも、結局のところ"掟"には絶対であることを説得してくる。闇社会に生きる男達の悲しい宿命を、ユーモアを織り交ぜて一層センチメンタルに伝えてくる。

      しかし、観賞を終えた後の作品に対する印象がエピローグの余韻に集約されてしまうところが残念でもある。例えば、FBI潜入捜査官である「ジョー・ピストーネ」の人物描写に乏しく、実際のところ、なぜ「レフティー」と接触できたのかが不透明である。また、「ジョー」が潜入捜査官として簡単に抜け出せないマフィアの深みにまで入り込んでしまった、という状況はかろうじて理解できるにしても、捜査成果の詳細が描かれないために、エピローグの訪れは唐突に思えてしまう。

      だが、結果としてアル・パチーノの圧倒的な存在感が作品の支柱であり、また成功の要因だろう。物語は「ジョー」の視点で描かれていくが、彼に感情移入してみれば確かに「レフティー」という男は、他人の心を惹くには十分な魅力をぎっしりと抱えているのである。マフィア対FBIへの勝負の期待は、観賞を進めるうちに「レフティー」対「ドニー」がどうか温和に事を収めてくれるように、との願いに変わっていく。「レフティー」のエピローグのセリフが、作品の核心を見事についている。男の信頼や友情といったものをひしひしと伝えてくる優秀なドラマである。

    ● 製作代表 : TriStar Pictures
    ● 日本配給 : 東宝東和
    ● 世界公開 : 1997/02/28 - アメリカ/カナダ
    ● 日本公開 : 1997/11/15
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    by movis | 2008-11-24 03:22 | 犯罪 / ギャング
    ハンティング・パーティ / THE HUNTING PARTY
    ● ハンティング・パーティ /
        THE HUNTING PARTY [アメリカ / クロアチア / ボスニア・ヘルツェゴビナ / 2007年]

    b0055200_2361188.jpg嘘だろう、と思うような破天荒なストーリーながらも、モチーフは実話にあり。戦争をユーモラスに描きつつ、悲劇や恐怖も表現追求されている。良い意味で、いい加減で胡散くさい作品だ。そうであるから、事実か否かの詮索は諦めて、作品のテンポに呑まれたほうが楽しい。



    監督は、リチャード・シェパード。「サイモン」役には、「プリティ・ブライド」「シカゴ」のリチャード・ギア。「ダック」役には、「クラッシュ」「Ray レイ」のテレンス・ハワード。「ベンジャミン」役には、「卒業の朝」のジェシー・アイゼンバーグ。「マルヤナ」役には、「敬愛なるベートーヴェン」のダイアン・クルーガー。「フォックス」役には、リュボミール・ケレケス。「フランクリン・ハリス」役には、ジェームズ・ブローリン。

    "狙った獲物は《最上級》"
    一流と称される戦場レポータの「サイモン」と、戦場カメラマンの「ダック」は良いコンビだった。恐怖とスリルの味を知り、世界の戦場を回った。そして、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争地帯へと脚を踏み入れる。しかし、現地からの生中継の最中に「サイモン」は突然、感情を剥き出しにし、暴言を吐くという大失態を犯してしまう。これによって「サイモン」は局を解雇され、輝かしい功績と評価は地に堕ちた。一方で、「ダック」の経験は高く認められ、彼は昇進を機に現場を離れた。「サイモン」と「ダック」のコンビは解消されてしまった。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の終結から5年を迎え、記念式典の様子を取材するため、アンカーマンの「フランクリン」は「ダック」と新米局員「ベンジャミン」と共に、サラエボへと降り立ち…。


      2000年、ジャーナリストのスコット・アンダーソンが10月創刊の男性誌「Esquire」に執筆したノンフィクションの経験談『What I Did on My Summer Vacation』が本作のモチーフとなっている。主演にはベテラン俳優リチャード・ギアと、好調テレンス・ハワードが起用され、本作の予告編では「The Clash」の"I Fought the Law"が楽しげな作品を予感させた。

      事実、戦争や戦場をテーマに選んだ作品の大半は遣る瀬のない心象を与えるものの、本作にはユーモアがある。そもそもジャーナリストという視点を採用したところで、こうしたテーマを別角度から見せることに成功している。例えば、恐怖とスリルが彼らをかきたてている、と言われてしまえば、そんな人間はいないとは言い切れず、悲壮感ではなく不思議と高揚感が沸いてきてしまう。何にましても、実話がモチーフになっているという前置きが最強の説得力を持っているわけだが、リチャード・ギアもテレンス・ハワードも無鉄砲なジャーナリストとカメラマンを熱演した。

      独特のスピード感をもって、時には下世話なジョークを含みながら、作品は展開していくわけであるが、戦争の悲劇や恐怖といったリアリティもユニークに描かれている。言葉にすると力不足だが、戦場がいかに無情であるか、ジャーナリストという肩書きがいかに頼りないかを痛感するようなエピソードも盛り込まれている。製作国に、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナが連なっている点も興味深く、ただ単に紛争をエンターテイメントとせず、皮肉を含めながら戦争の死角を突いていくのが本作の大きな特徴ともいえようか。

      ひねくれたカタルシスを残して、エピローグでは丁寧にも本作の種明かしが用意されている。嘘だろうと思うようなエピソードが実話であったり、驚くような裏話があったり、となかなか楽しい演出であった。良い意味でいい加減な作品なのだ。実話がモチーフという根底は覆らないにしても、どこまでが真実でどこからが虚飾なのかの見極めが難しい。したがって、ボスニア紛争の本質は本作からは読み取れない。「サイモン」と「ダック」よろしく、何だか荒々しい作品であるが、事実関係の整理は諦めて、軽快なテンポに巻かれるほうが楽しいに違いない。

    ● 製作代表 : Intermedia
    ● 日本配給 : Avex Entertainment
    ● 世界公開 : 2007年09月03日 - イタリア(第64回ヴェネチア国際映画祭)
    ● 日本公開 : 2008年05月10日
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    by movis | 2008-06-14 02:40 | コメディ
    バタフライ・エフェクト2 / The Butterfly Effect 2
    ● バタフライ・エフェクト2 / The Butterfly Effect 2 [アメリカ / 2006年]

    b0055200_1252167.jpg精神に重く、しかし非常にセンチメンタルなストーリーが反響を呼んだ「バタフライ・エフェクト」の続編。作品のトリックは前作から継承しているものの、ストーリーにはやや難あり…。シリーズが言わんとしていることは本作が分かり易いので、リラックスして観賞されたい。



    監督は、ジョン・R・レオネッティ。「ニック」役には、「アメリカン・パイ」のエリック・ライヴリー。「ジュリー」役には、エリカ・デュランス。「トレバー」役には、ダスティン・ミリガン。「アマンダ」役には、ジーナ・ホールデン。「ブリストル」役には、デヴィッド・ルイス。「ロン」役には、アンドリュー・エアリー。「グレース」役には、リンゼイ・マックスウェル。

    "Can you change your past without destroying your future?"
    新興携帯メーカー"CMI"で立ち上げたプロジェクトも前途洋々に進捗し、仕事に熱意をみせる「ニック」は、恋人「ジュリー」の24歳の誕生日を祝うため、親友の「トレバー」、その恋人「アマンダ」の4人で湖畔を訪れた。言葉にすることはなかったが、「ニック」も、「ジュリー」も、互いの未来に夢を膨らませているのであった。突然、「ニック」の携帯電話が鳴り、何か言いたげな「ジュリー」は言葉を呑んだ。会社からの呼び出しでは断ることも出来ず、4人は渋々車を走らせる。他愛ない会話で盛り上がる車内であったが、タイヤのパンクに空気が一変する。道を塞ぐかたちで急停止した車のサイドガラスには、真っ向から向かってくる大型トラックが映って…。


      監督エリック・ブレスが製作した「バタフライ・エフェクト」の続編製作を、撮影分野で活躍してきたジョン・R・レオネッティが引き継いだ。作品のトリックは、日記から写真へとトリガーが変わっただけで、アイデア自体は前作から継承している。一方、プロットは独立しているので、前作との比較というのは極力控えたいのだけれども…。

      …さて、どう書けばよいか。おそらくは、自身を含め、ファンが抱いていた期待とは相容れぬ方向へ歩んでしまった。理由は、主人公が持つ"能力"の説得と、その活かし方の二点にあるような気がしてならない。前作でアシュトン・カッチャーが演じた「エヴァン」が"能力"の潜在に気付いていく過程は、決してロジカルではなかったものの、物語の流れがニュートラルであったから、とりあえず納得できた。しかし、「ニック」のケースはあまりに唐突だ。

      「エヴァン」は"能力"を親和的に活かしたが、「ニック」は利己的に活かした。どうせそうであるなら「ジャンパー」の「デヴィッド」くらい徹底してほしいものだが、そこも果たしていない。物語のトリックを見せる段階では、まるで、前作を見てくれ、と言わんばかりの粗放さがあるに対し、ストーリーは独尊を貫いているために、どうも不親切だな、という思いを禁じえないのである。おまけのようなラブ・シーンがあったりするものの、それならばもっと前作へのオマージュを強調してほしかった、というのが本音である。

      ともあれ、"能力"を持ってしまったがために訪れる不幸のスパイラルは、センチメンタルを伴いながら上手く描かれている。「ニック」には、一筋縄ではいかない究極の選択肢が突きつけられていくために、彼がどういった行動をとっていくのか、興味はその動向へと向いていく。前作が湛えていた複雑難解な伏線や精神に重くのしかかるエピソードはさほど見受けられず、肩の力を抜いて観賞することができた。

      また、前作との互換性が明示される短いシーンがあった。全くのアナザー・ストーリーかと思っていたために、これには頬が緩んだ。そういったこともあるので、前作のトリックが好きなのであれば観賞してみるのも良いだろう。このシリーズが言わんとしていることは、本作のほうが明確で分かり易いのは間違いない。

    ● 関連作品 in this blog ...

    バタフライ・エフェクト [2004年]

    ● 製作代表 : New Line Cinema
    ● 日本配給 : ArtPort / AMGエンタテインメント
    ● 世界公開 : 2006年08月10日 - イスラエル
    ● 日本公開 : 2007年10月13日
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    by movis | 2008-04-29 12:09 | SF
    七人の侍
    ● 七人の侍 [日本 / 1954年]

    b0055200_6155426.jpg言わずとしれた巨匠、黒澤明を代表する作品のひとつ。時代劇やアクションの要素が高精度に描かれているのはもちろんのこと、これらを支える伏線の存在感が非常に鋭い。3時間を超える長尺が苦痛に感じなかった。名作と称される由縁、確かにこの目で見た。



    監督は、「羅生門」「隠し砦の三悪人」の黒澤明。「勘兵衛」役には、志村喬。「菊千代」役には、三船敏郎。「七郎次」役には、加東大介。「五郎兵衛」役には、稲葉義男。「平八」役には、千秋実。「久蔵」役には、宮口精二。「勝四郎」役には、木村功。「志乃」役には、津島恵子。「利吉」役には、土屋嘉男。「万造」役には、藤原釜足。「与平」役には、左ト全。「茂助」役には、小杉義男。「儀作」役には、高堂国典。

    [NO TAGLINE]
    戦国時代、各地で勃発した戦乱はさまざまな問題を引き起こした。野武士の横行もそのひとつである。とある貧しい山村、農民たちは、野武士との懸命な談合によって命だけは守ったものの、あらゆるものを奪われてしまった。そんな折、1人の農民が野武士の新たな奇襲計画を知り、村は恐怖と絶望に包まれる。我慢も限界に達した若い百姓「利吉」は、野武士との対峙を提案する。周囲の賛同をなかなか得ることができなかったが、村の長老「儀作」から、空腹の侍を雇うという策が立つ。早速、「利吉」、「万造」、「与平」、「茂助」は侍を定めるべく街へ出掛けるが、飯を食わせるから野武士を討伐してくれ、という条件に耳を貸す者はなかなか現れず…。


      言わずと知れた巨匠、黒澤明を代表する作品のひとつ。1954年、第15回ヴェネチア国際映画祭では、監督を評価する銀獅子賞を受賞した。この作品は国内外の業界に大きな影響を与えた。同じ志をもつ7人が集う、というモチーフが「荒野の七人」や"スター・ウォーズ"シリーズで応用されていることも有名である。リアリティに拘り、納得できるまで作品を作り上げていく、という黒澤のストイックな姿勢が、本作にも堂々と反映されている。

      単刀直入に、面白い。俯瞰すると知的で緻密なプロットの上に作品が構成されていることが分かるのであるが、随所でコメディしかり、黒澤のユーモアが光っている。百姓に雇われた侍が野武士から村を守っていく、という軸をしっかりと見捉えながら、伏線は完璧に回収している。補助的なエピソードに意識が振られるのであるが、結局はうまく本流に結びついていくのである。本作では、こうした快感を幾度と得ることができる。作品の中には喜怒哀楽が散りばめられているのであるが、とりわけ楽しいシーンの印象が強い。思わず、ドッと笑ってしまうようなものも少なくない。こうした黒澤のユーモアを、演者は正確に表現している。その中でも「菊千代」演じる三船敏郎のハマり様は奇跡を見ているかのようであった。

      強きが弱きを助ける、というシンプルな作品に落ち込んでいないのも良い。序盤、勝ち気だが傲慢な侍と臆病で卑屈な農民はなかなか相容れないのであるが、次第に相互の先入観を捨て、理解を示していく。こうした作品のテーマになりそうなドラマ要素も、本作に至っては作品を盛りたてるための素材であるのだから、ただただ感銘を受けるばかりである。ところで、さて野武士が攻め入ろうか、という折に、侍が農民を嫌悪するエピソードがあるのだが、その原因がすぐには分からなかった。これに代表されるような、かつての日本人が持っていた、近代では淘汰されてしまったものの考え方や価値観が発見できる点も実に興味深かった。

      本作はあくまでも時代劇であり、アクションである。数々のスタイルを確立した黒澤明であるから、これらの要素が高精度を誇っているのは言うまでもない。しかしながら、作品はそれだけで成り立っているわけではない。笑いあり涙あり、と言う言葉がこれほどまでに至言である作品は稀である。無言実行、寡黙で自身に厳しい「久蔵」に憧れた。大げさかもしれぬが、性格も生き方も違う七人の侍の中から、人生のロールモデルを探すのも良い。名作と称されるその由縁、この目でしかと見た。

    ● 製作代表 : 東宝
    ● 日本配給 : 東宝
    ● 世界公開 : 1954年08月 - イタリア(第15回ヴェネチア国際映画祭)
    ● 日本公開 : 1954年04月26日
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    by movis | 2008-04-29 06:20 | 邦画
    フィクサー / MICHAEL CLAYTON
    ● フィクサー / MICHAEL CLAYTON [アメリカ / 2007年]

    b0055200_2302270.jpg社会派要素を含みながら、正統で、静かで、シックにサスペンスを魅せてくれる作品。常に映像から伝わる事実を整理して理解しなければならず、易しい作品とは言えないが、駆け引きは非常に緊張感がある。観る人を選ぶ作品だと思うが、私にとっては傑作であった。



    監督は、"ジェイソン・ボーン"シリーズで脚本に携わってきたトニー・ギルロイ。製作総指揮には、"オーシャンズ"シリーズのスティーヴン・ソダーバーグ、「イングリッシュ・ペイシェント」のアンソニー・ミンゲラ、ジェームズ・ホルト。製作総指揮と「マイケル・クレイトン」役には、ジョージ・クルーニー。製作と「マーティ・バック」役には、シドニー・ポラック。「アーサー・イーデンス」役には、「バットマン ビギンズ」のトム・ウィルキンソン。「カレン・クラウダー」役には、「コンスタンティン」のティルダ・スウィントン。

    "The Truth Can Be Adjusted"
    在職15年を経ても昇格の機会を見失い、従兄弟の「ティミー」が積んだ8万ドルの借金を肩代わりしなければならない。公私に苦悩を抱えた「マイケル・クレイトン」は、ニューヨークに社を構える大手法律事務所"ケナー・バック & レディーン"に所属するフィクサーであった。「クレイトン」の同僚である敏腕弁護士「アーサー」は、農薬メーカー"U.North"が抱える3,000億円の集団訴訟を担当していた。しかし、突然、彼の精神が倒錯してしまう。騒然とする事態を重くみた事務所の経営者「マーティ」は、「アーサー」の元へ「クレイトン」を送り込むのであったが…。


      "ジェイソン・ボーン"シリーズのトニー・ギルロイを筆頭に、スティーヴン・ソダーバーグ、ジェームズ・ホルト、アンソニー・ミンゲラら敏腕クリエーターが名を連ねる。また、製作総指揮には「マイケル・クレイトン」役のジョージ・クルーニー、製作には「マーティ・バック」役のシドニー・ポラックが参加している。両名の演技力と製作能力に対する高い評価は、今に始まったことではないけれども、本作もまた、彼らの多彩な才能が如何なく発揮されている作品のひとつといえる。2007年度、第80回アカデミー賞では7部門でノミネートを受けた。監督賞、作品賞、助演男優賞では、同年ノミネート作品の「ノーカントリー」にオスカーを奪われた形となったが、助演女優賞には「カレン・クラウダー」役で出演した、ティルダ・スウィルトンが選ばれた。

      3,000億円をかけた集団訴訟、事件に影を潜める陰謀と"フィクサー"の存在、作品は社会派要素とサスペンス要素を含んでいるものの、「エリン・ブロコビッチ」や「インサイダー」などの社会派作品が比較対象にならないのは、陰謀を真っ向から捉えた、極めて正統で、サスペンスを重んじた作品だからである。そうとは言え、やや分かりにくい作品であることは間違いない。プロットや登場人物の設定が精巧を誇っているが、映像から得た事実の整理と理解を繰り返していかなければ、一気に距離を置かれてしまう。漫然と「マイケル・クレイトン」の姿を追うだけでは、陰謀の実体ですら見過ごしてしまうかもしれぬ危うさを秘めている。しかし、これは物語の軸が見えてくれば、非常に緊張感、逼迫感のあるサスペンスを楽しめる、ということの裏返しだ。

      さて、ストーリー上では補助的ではあるものの、「クレイトン」の私生活に対する苦悩というのも見所のひとつである。"フィクサー"という影のある職務を遂行しながらも、決して人間を超越しているわけではない。そして、人間らしさが生々しく描かれている、という点は「クレイトン」にだけ当てはまるわけではない。「アーサー」が精神を倒錯させてしまう由縁というものも、きわめて人間的である。そういった意味では「カレン・クラウダー」を演じたティルダ・スウィルトンがオスカーを勝ち取った理由というのも、勝ち気なビジネス・ウーマンであっても精神的に非凡ではない、という人間味を表現していたからではないか、と思う。物語のステージは雲の上であるものの、駆け引きを織り成す人間そのものは、共感を誘うレベルまで緻密に描かれていた。

      かくいう私は、持ちうる頭をできるだけ使ったことが功を奏したか、作品を楽しめた口である。本作はサスペンスの傑作のひとつであると思う。ただ、観る人は選ぶだろう。大きな陰謀に対してのリアクションが、あまりに静かで、シックであるからだ。だからこそ、余韻がいつまでも頭を捕らえている。エピローグの「マイケル・クレイトン」は、目で何を捉え、頭で何を思うのか。

    ● 製作代表 : Samuels Media
    ● 日本配給 : MOVIE-EYE
    ● 世界公開 : 2007年8月31日 - イタリア(第64回ヴェネチア国際映画祭)
    ● 日本公開 : 2008年4月12日
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    by movis | 2008-04-20 23:04 | サスペンス / ミステリー
    スパイダーウィックの謎 / The Spiderwick Chronicles
    ● スパイダーウィックの謎 / The Spiderwick Chronicles [アメリカ / 2008年]

    b0055200_2595420.jpgILMが放つ特殊効果が抜群のパンチ力を放つ一作。ここまで違和感なく、実写と特殊効果が融合するものか、と驚きを覚えた。2役を演じ分けるフレディ・ハイモアの存在感が鋭い。導入部こそ、子供には難解かもしれないが、裏を反せば大人も楽しめるファンタジーだ。



    監督は、「フォーチュン・クッキー」のマーク・ウォーターズ。原作は、製作総指揮にも参加しているホリー・ブラック、トニー・ディテルリッジの『スパイダーウィック家の謎』。「ジャレッド・グレイス」「サイモン・グレイス」役には、「ネバーランド」「チャーリーとチョコレート工場」のフレディ・ハイモア。「マロリー・グレイス」役には、「イン・アメリカ / 三つの小さな願いごと」のサラ・ボルジャー。「ヘレン・グレイス」役には、「フライド・グリーン・トマト」「レッド・ドラゴン」のメアリー=ルイーズ・パーカー。「アーサー・スパイダーウィック」役には、「ボーン・アルティメイタム」「マイ・ブルーベリー・ナイツ」のデヴィッド・ストラザーン。「マルガラス」役には、「ケープ・フィアー」「ホテル・ルワンダ」のニック・ノルティ。

    "Their World Is Closer Than You Think"
    森の奥に大きな屋敷がひっそりと建っている。様々な書籍と生物の標本で埋まった雑多な部屋に、不思議な生物を採集した、ひとりの男が飛び込む。彼は怯えた様子で、この生物を観察ノートに記すと、これを封印してしまう。そして、彼の叫び声が轟いた。80年の時を経て、荒廃した古い屋敷に「グレイス」一家が越してきた。「ジャレッド」の悪態を皮切りに始まる「マロリー」「サイモン」の兄弟喧嘩に、声を荒げる母親「ヘレン」。彼らが円満な家庭関係を築けていないのも、そもそもの引越しの理由も、夫婦の関係が悪化していたからだ。「ジャレッド」が家族に強い反抗心を持つのも、離れた父親を慕っていたからであった。そんな折、家族の持ち物が次々となくなってしまう、という現象が襲う。例によって、「ジャレッド」が責められるのであったが…。


      何といっても、映像美に圧倒される。特殊効果のスペシャリスト集団"ILM"のSpFXが、いかに強力であるかを体感できる作品だ。そもそも空想のクリーチャーやモンスターは、特殊効果によって表現するほかないのであるが、いまや実写と自然に相容れている様を目の当たりにして、ただ驚愕するばかりである。スタッフ・ロールに見つけた、上杉裕世をはじめ、多くの日本人の名前が嬉しかった。

      "フレディ・ハイモア"、"ファンタジー"と聞けば、本作と公開日が至近である「ライラの冒険 黄金の羅針盤」を思わず浮かべてしまったが、両作品での共通点は、単純な子供向けのジュブナイルではないことである。大人の思惑や事情に対して、子供が正確にリアクションを返しているので、思わずドキッとするほどシリアスに展開していく。しかしながら、こうした人間関係の不協和音が、恐怖や不安を共有することで解消されていく、というモチーフ自体は新しいものではないので、構成は至極シンプルである。

      こうした予定調和的なストーリーにあって、攻撃的で勇敢な「ジャレッド」と内向的で知的な「サイモン」の2役を演じ分けたフレディ・ハイモアの存在感が鋭い。唖然とするような衝撃のエピローグに向けて、「ジャレッド」が逞しく導いてくれるので、安心して観賞することができる。

      導入部が子供には少々難解かもしれないが、裏を反せば、大人でも十分に楽しめる内容である。昨今、大型のファンタジーでマーケットが賑わっている中、本作は96分という短い尺でスッキリとした完結を堪能することができるので、リラックスして観賞して頂きたい。やはり、映像のもつパンチ力が強い作品であるので、劇場の大きなスクリーンで本作を楽しむのがお勧めである。

    ● 製作会社 : The Kennedy/Marshall Company
    ● 配給会社 : Paramount Japan
    ● 世界公開 : 2008年1月31日 - アメリカ(ハリウッド/プレミア)
    ● 日本公開 : 2008年4月26日
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    by movis | 2008-04-13 03:04 | ファンタジー
    アメリカを売った男 / BREACH
    ● アメリカを売った男 / BREACH [アメリカ / 2008年]

    b0055200_1104861.jpgFBIを震撼させた実際のスパイ事件の実写化。物語の結末を冒頭から突きつけられてしまうけれども、ライアン・フィリップとクリス・クーパーが表現する心理戦がスリリング。緊張感がビリビリと空気を伝うようであった。もの静かな作品だが、単館上映が勿体ない…。



    監督は、「ニュースの天才」のビリー・レイ。「ロバート・ハンセン」役には、「真実の瞬間」「遠い空の向こうに」のクリス・クーパー。「エリック・オニール」役には、「カオス」「父親たちの星条旗」のライアン・フィリップ。「ケイト・バロウズ」役には、「トゥルーマン・ショー」のローラ・リニー。「ディーン・プリザック」役には、海外ドラマ"24 TWENTY FOUR"のデニス・ヘイスバート。「ジュリアナ・オニール」役には、「ハリウッドランド」のカロリン・ダヴァーナス。

    "Inspired by the true story of the greatest security breach in U.S. history"
    2001年2月18日、敏腕FBI捜査官として知られた「ロバート・ハンセン」が機密情報漏洩容疑で逮捕された。彼は長年に渡り、アメリカの国家機密情報をKGBに売っていたのであった…。FBI訓練捜査官の「エリック」は、尾行任務に飽き飽きしていた。彼を支えているモチベーションは、捜査官への昇格と妻「ジュリアナ」の存在であった。そんな折、直属の上司である「ケイト・バロウズ」に呼び出された「エリック」は、性倒錯を理由にベテラン捜査官「ロバート・ハンセン」監視の命を受ける。FBIが新設した"情報保護部"に異動となった「ロバート」の部下として、彼の動向を注視する「エリック」であったが…。


      アメリカを震撼させた実際のスパイ事件の映像化に、「ニュースの天才」を手掛けたビリー・レイが挑む。ライアン・フィリップ演じる「エリック・オニール」という人物もまた実在した元FBI捜査官であり、本作には特別顧問として製作を支援した。

      「ロバート・ハンセン」はスパイだ、という事実を真っ先に突きつけられるのだが、作品には観る者をグイグイと惹きつけるだけの力強さがあった。ミスディレクションがしかれたミステリーでも、驚愕の結末が控えたサスペンスでもないが、捜査官訓練生「エリック」とベテラン捜査官「ロバート」の心理戦が非常に巧く描かれている。その緊迫感は、まるで空気を伝ってくるかのようだった。

      クリス・クーパーが圧倒的な存在感を誇っている。「ロバート・ハンセン」の経歴について、別段丁寧な解説が用意されているわけではないが、彼の語り口や立ち振る舞いの演技に敏腕振りがよく表現されている。視線ひとつの演技で重厚さを醸し出し、恐怖を煽るクリス・クーパーという演者は怖い。与えられた任務を真っ当に遂行する誠実な「エリック」を演じたライアン・フィリップの印象も良い。作品の完成度を、この2人の主演が高めているところも認めておきたい。

      "事実は小説よりも奇なり"という言葉があるし、実話がモチーフだという断りが強い説得力ではあるが、クライマックスに向けての淡白な展開が残念なところである。序盤における冷や冷やとした緊張感、逼迫感が活き活きとしていただけに、この点が際立ってしまった。しかしながら、単館上映が非常に悔やしい作品である。「エリック」と「ロバート」の構図があるように、若手俳優ライアン・フィリップとベテラン俳優クリス・クーパーの堂々たる渡り合いは、是非ともスクリーンで観て頂きたい。

    ● 製作 : Double Agent Productions Inc.
    ● 配給 : Presidio
    ● 公開 : 2007年2月12日 - ドイツ(ベルリン・フィルム・マーケット / European Film Market)
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    by movis | 2008-03-21 01:19 | サスペンス / ミステリー
    バンテージ・ポイント / Vantage Point
    ● バンテージ・ポイント / Vantage Point [アメリカ / 2008年]

    b0055200_8303595.jpg1つの事件を8つの視点で見せて1つの真実に集約していく。構成のアイデアにパンチ力がある。この作品の優れている点は、アクションを含ませながらも、90分という上映時間ですべてを片付けてしまうところ。独特のテンポと緊迫感ある音楽に飽きを感じる隙がなかった。



    監督は、ピート・トラヴィス。「トーマス・バーンズ」役には、「ドラゴンハート」「オーロラの彼方へ」のデニス・クエイド。「ケント・テイラー」役には、海外ドラマ"LOST"シリーズのマシュー・フォックス。「ハワード・ルイス」役には、「プラトーン」「フォーン・ブース」のフォレスト・ウィッテカー。「スワレス」役には、「オーシャン・オブ・ファイヤー」のサイード・タグマウイ。「エンリケ」役には、「オープン・ユア・アイズ」のエドゥアルド・ノリエガ。「ハビエル」役には、「ボーン・アルティメイタム」のエドガー・ラミレス。「ベロニカ」役には、「ミュンヘン」のアイェレット・ゾラー。「レックス・ブルックス」役には、"エイリアン"シリーズのシガーニー・ウィーバー。「アシュトン」役には、「スモーク」「グッド・シェパード」のウィリアム・ハート。

    "8 Strangers. 8 Points of View. 1 Truth."
    スペイン、サラマンカ。テロ撲滅を謳う国際サミットの開催に沸くこの地で、演説台に立った「アシュトン」アメリカ合衆国大統領が何者かに狙撃される。立て続けに起こった爆風が、空を裂く悲鳴と、逃げ惑う人々を消し去る。新たな歴史が刻まれようとしていた華やかな舞台は、一瞬にして黒煙と静寂に包まれた。この凄惨な事件の真実を解く鍵は、8つの異なる視点にあった…。


      監督のピート・トラヴィスは、これまでTV作品を手掛けてきた。彼の劇場デビュー作品である本作は、完成度の高いスリラーである。まず何よりも強調しておきたいのは、濃密なボリューム感をたたえていること。90分という上映時間に疑いを持ってしまうほどであった。

      1つの事件を8つの視点で見せていく、という性格から"羅生門スタイル"の採用を予想していたが、1つ1つの視点の死角を別の視点が補っていく構成であった。であるからして、ヒントが少なく、作品の結末を予想させない点に意地悪さを覚えるのだが、真相が知りたい、という欲求が頭をもたげてくる。容疑者を随所に散りばめてミスリードを誘っているため、作品にグイグイと引きずり込まれた。こうした要素があって、思わず海外ドラマ「24 TWENTY FOUR」を重ねた。

      嫌というほど同じシーンを観た後は、アクション作品の様相を呈しながら、結末に向けてストーリーが加速していく。アクションに関しては、残念ながら昨今の流行を出し抜くほどの目新しさは発見できなかったものの、思わず仰け反るような迫力がある。

      めまぐるしい展開に見失いがちであるが、キャストの顔ぶれが実に贅沢である。シガーニー・ウィーバー、ウィリアム・ハート、デニス・クエイドなどのベテランは然ることながら、「ボーン・アルティメイタム」のエドガー・ラミレスや「ミュンヘン」のアイェレット・ゾラーなど、近年の大作で"見た顔"が並んでいる。彼らの出演作品はジャンルが共通しているわけではないが、この手の作品に出演しても違和感がない、という点で絶妙な配役とも言える。それぞれが過干渉することなく、スムースな物語の進行を助けている。

      一見関係がなさそうな8つのストーリーに複雑な伏線があり、これを細やかに回収しながら1つの真実を見せていく。迫力あるアクション・シーンがある。この作品が優秀であるのは、冒頭でも述べたように、こうした要素をたった90分で片付けてしまうからである。独特のテンポと緊迫感のある音楽が手伝って、飽きを感じることなく見通すことができた。詳細なストーリーにはリアリティを感じ得ないのであるが、エンターテイメント作品として十分な質を備えた作品であった。

    ● 製作 : Original Film
    ● 配給 : Sony Pictures Entertainment
    ● 公開 : 2008年2月20日 - フィリピン/アメリカ(ニューヨーク/プレミア)
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    by movis | 2008-03-15 08:34 | サスペンス / ミステリー
    ライラの冒険 黄金の羅針盤 / THE GOLDEN COMPASS
    ● ライラの冒険 黄金の羅針盤 / THE GOLDEN COMPASS [アメリカ / 2008年]

    b0055200_22373462.jpg孤独感に射す「ライラ」という希望。ビターではあるが、色鮮やかな個性を持った「ライラ」の仲間が魅力的。映像美にも文句のつけようがない。子供に向けた単純なジュブナイルではなく、奥深く、味わいのあるファンタジーであり、二部、三部にも期待がもてる作品だ。



    監督は、「アバウト・ア・ボーイ」のクリス・ワイツ。原作は、フィリップ・プルマンの『黄金の羅針盤』。「ライラ・ベラクア」役には、ダコタ・ブルー・リチャーズ。「マリーザ・コールター」役には、「ドッグヴィル」「ムーラン・ルージュ」のニコール・キッドマン。「ロード・アスリエル」役には、「ミュンヘン」「エリザベス」のダニエル・クレイグ。「セラフィナ・ペラーカ」役には、「キングダム・オブ・ヘブン」のエヴァ・グリーン。「パンタライモン」の声の出演には、「ネバーランド」「チャーリーとチョコレート工場」のフレディ・ハイモア。「イオレク・バーニソン」の声の出演には、"ロード・オブ・ザ・リング"シリーズのイアン・マッケラン。

    "There are worlds beyond our own - the compass will show the way."
    われわれの世界と似て非なる異界、英国はオックスフォード。この世界では"魂"に値する、動物の姿をした"ダイモン"を従えて、子供たちは走り回っている。その中に「パンタライモン」と「ライラ」の姿があった。幼くして両親を亡くした彼女は、我が子のように愛情を与えてくれる叔父「アスリエル」卿を慕っている。"ダスト"の謎を解き明かすべく、北の地に赴く「アスリエル」であったが、好奇心旺盛な「ライラ」が黙っているはずがない。幸運にも「ライラ」は、オックスフォード大学を訪れたロンドンの実権者「コールター」夫人から、北の地への旅行を誘われたのであったが…。


      イギリスの児童文学作家フィリップ・プルマンが執筆した『ライラの冒険』三部作の実写化第1弾作品。「ロード・オブ・ザ・リング」を世に出した New Line Cinema による、壮大なファンタジー大作である。最近のファンタジーと言えば、先に挙げた"ロード・オブ・ザ・リング"シリーズや"ハリー・ポッター"シリーズが記憶に新しいが、封切を待たずして続編をほのめかされると、一作も見逃してはいけないような強迫観念に駆られてしまい、脚が遠のいてしまうのであった。たまたま、と言うと失礼であるが、気軽に観賞した本作は、本格ファンタジーとの久方ぶりの出会いである。劇場では、やはり子供を連れた家族の姿が目立った。しかし、作品は大人にとっても奥深く、決して単純なジュブナイルではない。

      15,000人が応募したオーディションを勝ち上がったダコタ・ブルー・リチャーズが演じる「ライラ」は、好奇心を抑制できない、という部分を除けば、雄弁でカリスマ性を備えた立派な女性であった。彼女を取り巻く世界は、まるで存在しているのが当然であるかのように、あれよあれよと巡っていく。「ライラ」に手を引かれる物語の進行が茨の道にも思えたのは、自分の理解力が足りないか、年をとってしまったのか…。

      息切れ、ようやく世界観に浸った頃には、「ライラ」の周りにたくさんの仲間がいる。とりわけ、印象的であるのは、彼らが一様に孤独感を抱えていて、各々が違った動機で「ライラ」に希望を見出している点である。ビターであるが、色鮮やかな相関であった。こうした夢のような舞台には相容れないだろうと思っていたニコール・キッドマンにおいても、見事にその表情を使い分け、独特で圧倒的な存在感がある。影のあるキャラクターの描き方には、重厚感すら漂っている。

      ところで、めまぐるしく移ろう壮大な世界観は、終盤に向けて続く寒空に、こじんまりとした印象が否めない。大規模な戦闘シーンも、子供への配慮は別にしても、気分を高揚させるには正直に物足りない。「ライラ」という絶対的な軸と、仲間の個性が豊かなだけに、物語の失速感が残念なところであるが、映像美には文句のつけようもなく、二部、三部でどう魅せてくれるかが大いに期待できるところである。ともあれ子供向けでは勿体ない、味わいのあるファンタジーであった。

    ● 製作 : New Line Cinema
    ● 配給 : GAGA Communications / 松竹
    ● 公開 : 2007年11月27日 - イギリス(ロンドン/プレミア)
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    by movis | 2008-03-10 22:52 | ファンタジー
    アメリカン・ギャングスター / American Gangster
    ● アメリカン・ギャングスター / American Gangster [アメリカ / 2008年 / R-15]

    b0055200_451458.jpg過去の"ギャング映画"には類を見ない個性を持っており、リドリー・スコットの新たな側面を見せてくれる作品であった。デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウの対立が色鮮やかであるだけでなく、キーパーソンを演じるジョシュ・ブローリンが非常に味のある存在感を示す。



    監督は、「エイリアン」「ブレードランナー」のリドリー・スコット。「フランク・ルーカス」役には、「マルコムX」「デジャヴ」のデンゼル・ワシントン。「リッチー・ロバーツ」役には、「L.A.コンフィデンシャル」「グラディエーター」のラッセル・クロウ。「ニッキー・バーンズ」役には、「星の王子ニューヨークへ行く」のキューバ・グッディング・Jr。「トルーポ」役には、「ノーカントリー」のジョシュ・ブローリン。「ヒューイ・ルーカス」役には、「ラブ・アクチュアリー」のキウェテル・イジョフォー。

    "There are two sides to the American dream. "
    1968年のニューヨーク。「フランク」は黒人ギャングのボスとして知られる「バンピー」の運転手を務めていた。「バンピー」の没後、「フランク」はこれまでの学習と新たな発想で麻薬ビジネスを展開する。「フランク」の名が知られることはなかった。ただ静かに、暗黒街での勢力を拡大させていく。警察組織の内部で汚職が跋扈していたこの時代に、ニュージャージーの「リッチー」だけは潔癖を貫いていた。融通がきかぬ性格であるから、同僚、妻子と人間関係にも不器用であったが、信頼に値するという評価を受け、麻薬捜査班のチーフに任命される。検察は相場よりも価格が安く、純度が高い"ブルーマジック"というヘロインの出現に頭を抱えていた。「リッチー」の役目は、市場を牛耳る、姿のみえないボスに辿り着くことであった…。


      1960年代後半から1970年代前半にかけて、ハーレムでヘロインを密売し、犯罪組織のボスであった「フランク・ルーカス」とは実在の人物であり、本作は彼を取り巻いた事実を基に製作された作品である。2007年度のアカデミー賞では、「ママ・ルーカス」を演じたルビー・ディーが助演女優賞にノミネートされた。

      どちらかといえば、「マイ・ボディガード」や「デジャヴ」でワシントンとタッグを組んだ経緯もあるトニー・スコットに向いた作品であるようにも思えるが、結果として実兄であるリドリー・スコットは、非常に上品に、スマートに"ギャング映画"として本作を仕上げた。上品に、スマートに、という意味では、過去の様々な"ギャング映画"にも類を見ないような個性がある。作品がどういった評価を受けるか、は別として、リドリー・スコットの新たな一面を垣間見たような気がする。

      基本的には「フランク・ルーカス」が主体的に描かれている。「バンピー」亡き後、頼れる存在もなく、ほぼ裸一貫の状態から、きわめて知的に暗黒街の実権を握っていく過程が圧巻であった。「リッチー・ロバーツ」を演じたラッセル・クロウの存在感も大きい。両者の対立が本作のひとつの見所でもあるのだが、一族団欒で豪勢な食事を摂る「フランク」とジャンクフードをむさぼる「リッチー」など、画で見る立場の違いも鮮やかであった。汚職が横行する警察組織の中で、潔癖を貫く「リッチー」であるが、それは単純に"正義感"があるゆえ、ではなく、"融通がきかない"から、であるのが、数少ないシーンからも汲めたのも面白い。

      「リッチー」と対をなす「トルーポ」を演じたジョシュ・ブローリンの悪徳警官振りが非常に良かった。しかしながら、「フランク」と「リッチー」という表面的な対立に加えて、「フランク」と「トルーポ」、「リッチー」と「トルーポ」という構図にも重要な意味がある以上、パンチ力不足である点が否めない。彼のエピソードの使い方、描き方次第ではもっとわかりやすい作品になったのではないか、と歯がゆいほどの勿体なさも感じた。

      ともあれ、重厚で、単純にカッコイイ作品である。"ギャング映画"としてはあまりに綺麗すぎたが、実話を基にしているという点では、人間を飄々と描くリドリー・スコットの作風が活きたのかもしれぬ。彼が目の前にいれば、この作品に対する印象を聞いてみたい。満足感に溢れているのだろうか、もしかすれば懲りてしまっただろうか。どちらにせよ、今後の彼の作品に、本作がどういった影響を与えていくかが大いに楽しみである。

    ● 製作 : Universal Pictures
    ● 配給 : 東宝東和
    ● 公開 : 2007年10月19日 - アメリカ(ニューヨーク/プレミア)
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    by movis | 2008-03-10 04:11 | 犯罪 / ギャング