● カジノ / CASINO [1996年]
派手で、華やかなイメージが強いラス・ベガス。だが、かつては凄惨な裏側が在った。表裏一体を成した過去のラス・ベガスを鋭くえぐった大作。あなたはこれを事実と受け止めることが出来るだろうか。
監督は「ギャング・オブ・ニューヨーク」、第77回アカデミー賞においてレオナルド・ディカプリオを主演男優賞ノミネートに導いた「アビエイター」のマーティン・スコセッシ。「サム・エース・ロススティーン」役には、「ゴッド・ファーザー PART2」「ディア・ハンター」のロバート・デ・ニーロ。「ジンジャー・マッケンナ」役には、「氷の微笑」「キャットウーマン」のシャロン・ストーン。「ニッキー・サントロ」役には、「ホーム・アローン」で間抜けな泥棒役を演じたジョー・ペシ。
舞台は1970年代のラス・ベガス。徹底したデータ収集を欠かさずに、圧倒的に勝ち上げた天才ギャンブラー「サム・エース・ロススティーン」は、その才能を買われて巨大カジノ「タンジール」の経営を任される。美貌を武器にする女性ハスラー「ジンジャー」を見止め、2人は結婚。生活は幸せに続く様に思われた。…が、手加減を知らない「サム」の盟友であり、相棒である「ニッキー」の悪行は金を軸に益々激化していく…。
ラス・ベガスの史劇としての印象が非常に強い。事実に基づいた作品ながら、登場人物同士の会話では人間関係を明確に描き、説明臭さを排除。会話の遣り取りでは読み取れない事実や補足事項は、彼らの朗読で解説が成される等といった「70年代のラス・ベガス」の世界に観賞者をすんなりと魅せ入る丁寧な演出は素晴らしい。3時間という長編ながら、どのシーンも無駄を感じさせない、隙のない展開。何か壮大な告白本を読んだ様に、人の目には触れなかった華やかな世界の舞台裏をドッシリとした重量感たっぷりに魅せてくれる。
分厚い歴史本を読み貫いたような疲労感が身体を襲う。万人にお勧め出来る作品ではないけれども、どちらにせよ観賞を考えていらっしゃる方には「よし!観るぞ!」位の覚悟をお勧めする。少なくとも暇潰しに観る映画ではない。
● DVD
カジノ (Amazon.co.jp)