● オーシャンと11人の仲間 / OCEAN'S 11 [1960年]
ソダーバーグ監督が後に「オーシャンズ11」としてリメイクした作品。非常に豪華なキャストを揃えた作品だが、総評を一言に換えると「冗長」だろうか。巨大カジノを狙う犯罪組織としては11人は少ない。だが、観賞する立場から言えば、個性の弱い11人全員の把握は難しい。
監督は、ルイス・マイルストーン。「ダニー・オーシャン」役には、アメリカのミュージック・シーンに大きな影響を与え、シンガーとしても大成したフランク・シナトラ。歌手を夢見、「オーシャンズ11」の中で最もベガスを知る男「サム・ハーモン」役には、ディーン・マーティン。かつてはプロ野球選手だった「ジョシュ・ハワード」役には、サミー・ディビス・ジュニア。裕福な家庭に育った「ジミー・フォスター」役には、ピーター・ローフォード。
電気技師「アンソニー・バーグドーフ」役には、リチャード・コンテ。オートレース選手を引退した「コーリー・ステファンズ」役には、リチャード・ベネディクト。サーカス団員だった「ロジャー・コーニール」役には、ヘンリー・シルバ。カウボーイ「ルイス・ジャクソン」役には、クレム・ハーヴェイ。「ヴィンセント・マスラー」役には、バディ・レスター。「マッシー・オーコナーズ」役には、ジョーイ・ビショップ。「ピーター・レイマー」役には、ノーマン・フェル。「ドゥケ・サントス」役には、セザール・ロメロ。
「ラス・ベガス襲撃作戦」を画策した「アーシボス」は、その実行を第二次世界大戦時に空挺部隊の軍曹として活躍した「ダニー・オーシャン」に委託する。それを受けた「オーシャン」は、かつての戦友、10人を呼び寄せた。数週間にも及ぶ準備も完了。一向が狙うは、ニュー・イヤー・イベントで人がごった返す「フラミンゴ」「リヴィエラ」「デザート・イン」「サンズ」「サハラ」の5つのカジノで…。
ソダーバーグ監督がリメイクした「オーシャンズ11」でもそうだが、11人の人間がラス・ベガスのカジノ群から金をせしめる、というアイデアは非常に面白い。だが一方で、観賞した感想は今一つだった。作品の大半が、登場人物達のキザな遣り取りを見せられるのだ。「11人で壮大な盗みを行う」というコンセプトは明らかなのだから、彼らの怪盗振りを軸とした、重視した展開であるべきである。それを踏まえれば、2時間半という上映時間は長過ぎる。それぞれのキャラクターにスポットが当たるシーンもあるが、各人の個性描写が非常に弱く、イマイチ素性が解せない為、観賞後も「あれは誰だったんだろう…。」、誰が誰だか分からなかった。その点で11人の個性、人間模様の色鮮やかさ、娯楽性はソダーバーグ監督作品の方が上だろう。
ソダーバグ監督作品との比較を続ければ、「オーシャンズ11」においては「盗み」に長けたスキルを習得したエキスパート11人がそれぞれに自分の専門分野を如何なく発揮する、という設定だったが、この作品の「オーシャンズ11」は、戦時中に「オーシャン」と友情を結んだ、というそれだけの理由で集められた、歌手志望、元オートレーサー、元プロ野球選手等…と、肩書きがバラバラの11人。「盗み」に関しての素人ばかりがベガスを狙っても勝算があるのだろうか?設定上の無理強引さを感じずには居られない。
ここまではソダーバーグ監督作品である「オーシャンズ11」との比較を続けてきたが、この作品が唯一それと異なる点は、観賞後には不思議な寂しさと切なさが残るところ。敢えて「お勧め」とまでは言わないが、「お祭り作品」の原点を見てみるのも面白いだろう。
● 関連作品 in the MOVIS
オーシャンズ12 [2005年]
オーシャンズ13 [2007年]
● DVD
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