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    バンテージ・ポイント / Vantage Point
    ● バンテージ・ポイント / Vantage Point [アメリカ / 2008年]

    バンテージ・ポイント / Vantage Point_b0055200_8303595.jpg1つの事件を8つの視点で見せて1つの真実に集約していく。構成のアイデアにパンチ力がある。この作品の優れている点は、アクションを含ませながらも、90分という上映時間ですべてを片付けてしまうところ。独特のテンポと緊迫感ある音楽に飽きを感じる隙がなかった。



    監督は、ピート・トラヴィス。「トーマス・バーンズ」役には、「ドラゴンハート」「オーロラの彼方へ」のデニス・クエイド。「ケント・テイラー」役には、海外ドラマ"LOST"シリーズのマシュー・フォックス。「ハワード・ルイス」役には、「プラトーン」「フォーン・ブース」のフォレスト・ウィッテカー。「スワレス」役には、「オーシャン・オブ・ファイヤー」のサイード・タグマウイ。「エンリケ」役には、「オープン・ユア・アイズ」のエドゥアルド・ノリエガ。「ハビエル」役には、「ボーン・アルティメイタム」のエドガー・ラミレス。「ベロニカ」役には、「ミュンヘン」のアイェレット・ゾラー。「レックス・ブルックス」役には、"エイリアン"シリーズのシガーニー・ウィーバー。「アシュトン」役には、「スモーク」「グッド・シェパード」のウィリアム・ハート。

    "8 Strangers. 8 Points of View. 1 Truth."
    スペイン、サラマンカ。テロ撲滅を謳う国際サミットの開催に沸くこの地で、演説台に立った「アシュトン」アメリカ合衆国大統領が何者かに狙撃される。立て続けに起こった爆風が、空を裂く悲鳴と、逃げ惑う人々を消し去る。新たな歴史が刻まれようとしていた華やかな舞台は、一瞬にして黒煙と静寂に包まれた。この凄惨な事件の真実を解く鍵は、8つの異なる視点にあった…。


      監督のピート・トラヴィスは、これまでTV作品を手掛けてきた。彼の劇場デビュー作品である本作は、完成度の高いスリラーである。まず何よりも強調しておきたいのは、濃密なボリューム感をたたえていること。90分という上映時間に疑いを持ってしまうほどであった。

      1つの事件を8つの視点で見せていく、という性格から"羅生門スタイル"の採用を予想していたが、1つ1つの視点の死角を別の視点が補っていく構成であった。であるからして、ヒントが少なく、作品の結末を予想させない点に意地悪さを覚えるのだが、真相が知りたい、という欲求が頭をもたげてくる。容疑者を随所に散りばめてミスリードを誘っているため、作品にグイグイと引きずり込まれた。こうした要素があって、思わず海外ドラマ「24 TWENTY FOUR」を重ねた。

      嫌というほど同じシーンを観た後は、アクション作品の様相を呈しながら、結末に向けてストーリーが加速していく。アクションに関しては、残念ながら昨今の流行を出し抜くほどの目新しさは発見できなかったものの、思わず仰け反るような迫力がある。

      めまぐるしい展開に見失いがちであるが、キャストの顔ぶれが実に贅沢である。シガーニー・ウィーバー、ウィリアム・ハート、デニス・クエイドなどのベテランは然ることながら、「ボーン・アルティメイタム」のエドガー・ラミレスや「ミュンヘン」のアイェレット・ゾラーなど、近年の大作で"見た顔"が並んでいる。彼らの出演作品はジャンルが共通しているわけではないが、この手の作品に出演しても違和感がない、という点で絶妙な配役とも言える。それぞれが過干渉することなく、スムースな物語の進行を助けている。

      一見関係がなさそうな8つのストーリーに複雑な伏線があり、これを細やかに回収しながら1つの真実を見せていく。迫力あるアクション・シーンがある。この作品が優秀であるのは、冒頭でも述べたように、こうした要素をたった90分で片付けてしまうからである。独特のテンポと緊迫感のある音楽が手伝って、飽きを感じることなく見通すことができた。詳細なストーリーにはリアリティを感じ得ないのであるが、エンターテイメント作品として十分な質を備えた作品であった。

    ● 製作 : Original Film
    ● 配給 : Sony Pictures Entertainment
    ● 公開 : 2008年2月20日 - フィリピン/アメリカ(ニューヨーク/プレミア)
    by movis | 2008-03-15 08:34 | サスペンス / ミステリー