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    最高の人生の見つけ方 / The Bucket List
    ● 最高の人生の見つけ方 / The Bucket List [アメリカ / 2007年]

    最高の人生の見つけ方 / The Bucket List_b0055200_0135921.jpg日常の肩凝りをほぐしてくれるような優しい作品であった。やはり、ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマンの演技力はさすが。悲壮漂うテーマでありながらも、「エドワード」と「カーター」が織り成すドラマは底抜けに楽しい。ロブ・ライナーらしさが発揮された珠玉の一作。



    監督は、「スタンド・バイ・ミー」「ア・フュー・グッドメン」のロブ・ライナー。「エドワード・コール」役には、「イージー・ライダー」「カッコーの巣の上で」のジャック・ニコルソン。「カーター・チェンバーズ」役には、「ショーシャンクの空に」「ミリオンダラー・ベイビー」のモーガン・フリーマン。「ヴァージニア・チェンバーズ」役には、「クラッシュ」のビヴァリー・トッド。「トマス」役には、「エイプリルの七面鳥」のショーン・ヘイズ。「ホリンズ」役には、ロブ・モロー。

    "When he closed his eyes, his heart was opened"
    家族を愛し、博学で、真面目に人生を生きてきた自動車整備工「カーター・チェンバーズ」は、愛妻「ヴァージニア」の電話で身体検査の結果を知る。短くなった煙草が「カーター」の指から滑り落ちた。金儲けに貪欲で、"世界一高価"と呼ばれるコーヒーを嗜むこと以外に興味を持たない「エドワード・コール」は、ウェインウッド病院の経営権を得るための重要な審議会で突然咳き込んだ。手にしたハンカチは真っ赤に染まった。皮肉にも、自社が経営権を得たばかりのウェインウッド病院に入院することとなった「エドワード」は、すでに病室のベッドに横たわった「カーター」と出会う。互いに厳しい治療を耐え抜く日々が続く。そんなある日、「エドワード」は「カーター」が必死に物書きをしている様子に好奇心を抱く。「カーター」は、ただのメモだ、と言い張るのだが…。


      1937年生まれ、ともに2007年で70歳を迎えた名優ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマン。彼らが演じる「エドワード」と「カーター」が、奇妙な縁から友情を育み、余命を楽しむため、病院を抜け出して旅をするヒューマン・ドラマ。「スタンド・バイ・ミー」のロブ・ライナーは、クレイグ・ゼイダンとニール・メロンが執筆した脚本をすべて読み切る前に、映画化を決意したという。当のゼイダンは、ロブ・ライナーを『感情的なテーマの中にユーモアを見い出す才能がある』と称しているが、本作はまさにその言葉を具現したような作品であった。

      「エドワード」と「カーター」が出会うまで、そして旅に出かけるまでのシーンは痛々しい。正反対ともいえる人生を歩んできた二人の出会いは皮肉にも病室である。友情を結ぶきっかけも互いに余命を宣告され、死に向かい合うという経験を共有したからだ。しかしながら、作品は楽しげで、悲壮感は薄い。「エドワード」と「カーター」は確実に絶望を得ながらも、生きる目標を得て、気丈を貫いているのである。死への恐怖や不安は直接的に描かれておらず、「エドワード」や「カーター」が節々で見せる表情や仕草に窺い知れる程度である。この点で、ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマンの演技力は流石としか言いようがない。そして、悲しいが楽しい、という作品の性格を支えている「トマス」という重要な人物を演じた、ショーン・ヘイズの存在感も大きい。

      物語は、「カーター」が記した"棺おけリスト"に「エドワード」が興味を示してから、加速度的にアクティブになっていく。この"棺おけリスト"というモチーフは、イザベル・コヘットの「死ぬまでにしたい10のこと」でも用いられていたが、棺桶に脚を入れる前に達成したい事柄を書き出して、実行に移していく、というものだ。本作では、「エドワード」と「カーター」は世界を旅しながら、リストの項目を潰していく。彼らの一連の行動というのは、あまりに壮大で、コストも巨額で、なかなか模倣できるものでもないし、リアリティには欠けている。ともあれ、"生きる"という作品のメッセージは伝わるはずだ。これを実現し得るのは、「エドワード」と「カーター」の語りによって、両名の人物像を明確に描いているからである。つまり、物語はぶっ飛んでいるけど、登場人物は人間味がある。正反対の性格をもった「エドワード」と「カーター」のどこかに、自分自身の生き方と重なる部分があるのではないだろうか。

      2人の名優は互いに主張が過ぎることもなく、絶妙なバランスで「エドワード」と「カーター」を演じている。物語の中での彼らの出会いが、奇跡ともいえそうなくらいであった。底抜けて明るいコメディの中には、しっかりと"生きる"ことの大切さが説かれている。ハチャメチャとも思える描き方をしておきながら、最後にカタルシスを与えてくるところは、やはりロブ・ライナーらしい。日常の肩凝りをそっとほぐしてくれる、そんな優しい作品であった。

    ● 製作代表 : Storyline Entertainment
    ● 日本配給 : Warner Bros.
    ● 世界公開 : 2007年12月16日 - アメリカ(ハリウッド/プレミア)
    ● 日本公開 : 2008年05月10日
    by movis | 2008-05-26 00:50 | ドラマ