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    奇跡のシンフォニー / AUGUST RUSH
    ● 奇跡のシンフォニー / AUGUST RUSH [アメリカ / 2007年]

    奇跡のシンフォニー / AUGUST RUSH_b0055200_1471725.jpgこれはいい。最高だ。終始、スクリーンから流れるクラシック、ロック、ゴスペル、ジャンルを問わない多種多様の音楽。音楽のもつ力を、納得できるほど力強い楽曲と表現力を備えている。心で感じる、という言葉が相応しい珠玉の音楽映画だ。疲れが癒された…。



    監督は、カーステン・シェリダン。「エヴァン・テイラー/オーガスト・ラッシュ」役には、「ネバーランド」「スパイダーウィックの謎」のフレディ・ハイモア。「ライラ・ノヴァチェク」役には、「ウェイトレス ~おいしい人生のつくりかた」のケリー・ラッセル。「ルイス・コネリー」役には、「ベルベット・ゴールドマイン」のジョナサン・リス=マイヤーズ。「リチャード・ジェフリーズ」役には、「Ray レイ」のテレンス・ハワード。「マックスウェル・"ウィザード"・ウォラス」役には、「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」のロビン・ウィリアムズ。「トマス・ノヴァチェク」役には、ウィリアム・サドラー。「アーサー」役には、レオン・トマス三世。「ホープ」役には、ジャマイア・シモーヌ・ナッシュ。

    "An incredible journey moving at the speed of sound"
    ニューヨーク州児童福祉局員「リチャード・ジェフリーズ」が、養護施設にどれくらいいるのか、と尋ねると「エヴァン」は11年と16日だと答えた。生まれつき鋭い音感をもつ「エヴァン」は、日常のあらゆる音が旋律として結びついて聴こえた。施設の仲間からは変な奴だといじめを受けたが、「エヴァン」は音楽こそが、未だ見ぬ両親の元へと導いてくれるのだと信じてやまなかった。彼の耳に流れる音楽の源流は11年前まで遡る。それは綺麗な満月が浮かぶ夜だった…。


      監督のカーステン・シェリダンは、「マイ・レフトフット」「父の祈りを」を築いた巨匠ジム・シェリダンを父に持つ。彼女は父親の監督作「イン・アメリカ/三つの小さな願いごと」で脚本を担当し、アカデミー賞とゴールデン・グローブ賞のノミネートを受けている。本作は、日本での公開作品としては、彼女の初の監督作品である。好調フレディ・ハイモアを主演に迎え、「M:i:III」で顔を合わせているケリー・ラッセルとジョナサン・リス=マイヤーズ、「ハンティング・パーティ」ではリチャード・ギアと共演したテレンス・ハワードなど、フレッシュな面々が脇を固めている。

      本作の特徴は、音楽にある。クラシック、ロック、ゴスペルと、多種多様の音楽がひっきりなしに流れている。音楽のないシーンを見つけるほうが難しい。そもそもが本作は40曲以上の楽曲をフューチャーしているのだ。"音楽映画"と称しても違和感がないほどに、作品がメロディアスな仕上がりになっている。本作は、映像化よりも先に音楽を完成させるという独創的なアプローチを以って製作されたようだが、重圧的なプレッシャーを耐え抜いて、作品を"音楽映画"という方向性へと導いたのは、ブロードウェイ・ミュージカル「ライオン・キング」で一部楽曲の作曲、編曲を担当したマーク・マンシーナの実力だ。スラッピングが印象的な"Bari Improv"や"Dueling Guitars"などの楽曲が至極心地よい。

      マーク・マンシーナのみならず、ジェフリー・ポラック、ジュリア・マイケルズ、アナスターシャ・ブラウンといったアドバイザーが参加していること、ジョン・レジェンドやデヴィッド・クロスビーなどのアーティストが協力していること、ギターや指揮を勉強したフレディ・ハイモアと、本作で初めてチェロに触れたケリー・ラッセルなど、音楽に関しては話題が尽きないのであるが、ジョナサン・リス=マイヤーズの歌声はとりわけ驚愕するほどに美しかった。自分自身、悲壮感を得ているとき、テンションを上げたい時に音楽に頼り、音楽には感情をコントロールできる力があると信じてやまないのだが、本作はそんな音楽の力を語るに相応な楽曲と表現力を備えている。喜怒哀楽をメロディーで表現しながら、勢いのある演者の演技が加味されるので、文句のつけようもない。物語の中には、ニューヨーク市にある名門ジュリアード音楽院が登場する。実は、ロビン・ウィリアムズはこの大学の演劇部を卒業している。若手俳優がひしめく本作にあって、クセのある「マックスウェル・"ウィザード"・ウォラス」を演じた彼の堂々とした、安定した演技には、安心感すら感じえた。

      一方で、あまりに映画の構成を音楽に頼ってしまったがために、ロジックを欠いてしまった。運を頼ったストーリーであり、好転が繰り返される状況は現実的に不自然である。しかし、個人的には、淡白なエピローグに勿体なさを感じただけで、大いに感銘を受けた。「奇跡のシンフォニー」というレトロな心象の邦題が付いているものの、スピーディで、幻想的で、初々しい作品である。とにかく、スクリーンから流れてくる旋律を楽しむべき。『心で感じる』という言葉が実に相応しい。日常の疲れが吹き飛んだ。

    ● 製作代表 : CJ Entertainment
    ● 日本配給 : 東宝東和
    ● 世界公開 : 2007年10月06日 - アメリカ(HATCHfest Film Festival)
    ● 日本公開 : 2008年06月21日
    by movis | 2008-06-16 01:55 | ドラマ