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    トラフィック / Traffic
    ● トラフィック / Traffic [アメリカ / 2000年]

    トラフィック / Traffic_b0055200_265633.jpgアメリカ、メキシコの巨大な麻薬カルテルをみつめる、色の異なる3つのストーリー。麻薬が生み出す圧倒的な絶望感。綺麗事だけではどうにもならないこともある、と言われた気がするが、その答えを明示してもらえない。希望を探すこと。社会派として貴重な一作だった。



    監督は、「エリン・ブロコビッチ」のスティーヴン・ソダーバーグ。「ロバート・ウェークフィールド」役には、「ウォール街」のマイケル・ダグラス。「ヘレーナ・アヤラ」役には、「シカゴ」のキャサリン・ゼタ=ジョーンズ。「ハビエル・ロドリゲス」役には、「バスキア」のベニシオ・デル・トロ。「モンテル・ゴードン」役には、「ホテル・ルワンダ」のドン・チードル。「レイ・カストロ」役には、ルイス・ガスマン。「マノーロ・サンチェス」役には、ジェイコブ・バルガス。「カルロス・アヤラ」役には、スティーヴン・バウアー。「キャロライン・ウェークフィールド」役には、エリカ・クリステンセン。「アーニー・メッツガー」役には、「バンテージ・ポイント」のデニス・クエイド。

    "No One Gets Away Clean"
    メキシコ、ティファナ。国境警備を担当するメキシコ州警察「ハビエル」と「マノーロ」は、情報屋の垂れ込みをもとに麻薬の密輸を暴くものの、連邦警察「サラサール」将軍に容疑者の身柄を奪われてしまう。「ハビエル」の腕を認めた「サラサール」は彼を呼び出し、ティファナに根付く巨大な麻薬密輸ルートを壊滅させるために、ある任務を課すのであった。アメリカ、オハイオ。麻薬取締最高責任者に任命されたオハイオ州の最高裁判所判事「ロバート」は、新たに与えられた職務に昂揚した。しかし、彼が立ち向かうべき麻薬は、皮肉にも娘の「キャロライン」に魔の手を伸ばしていたのでった。アメリカ、サンディエゴ。子を宿し、幸せな生活を送っていた「ヘレーナ」であったが、突然、実業家の夫「カルロス」が麻薬取締局(DEA)捜査官「モンテル」と「レイ」に逮捕されてしまう。呆然とする「ヘレーナ」に、顧問弁護士「アーニー」は驚くべき事実を告げて…。


      社会派やドキュメンタリーにも通じるスティーブン・ソダーバーグは、本作で2000年アカデミー賞監督賞を受賞した。アメリカ・メキシコをまたがって蔓延る巨大な麻薬カルテルに焦点を当てた犯罪ドラマ。同年、ソダーバーグは「エリン・ブロコビッチ」を製作しているが、雰囲気が異なる両作品は、社会の諸問題を鋭くえぐっている点で共通している。

      アメリカ、メキシコに蔓延る"麻薬"という闇をテーマを直視している。フィクションであるとはいえ、麻薬の脅威や恐怖が映像を生々しく這い回り、絶望を誘う。非常に濃厚な麻薬戦争を舞台としながらも、抑揚は小さく、物語は情をはさむ余地もないほどに淡々と進んでいく。むしろ、この性格があるからこそ、テーマが現実的、日常的に体感できる。雲の上の話とも他人事とも思えず、世界観に惹きこませる演出が巧い。観る者を"その気"にさせる本作の引力は、ひとつのテーマを異なる環境、異なる人間がみつめる群像劇から生まれているように思える。

      物語を牽引していく「ロバート」、「ハビエル」、「モンテル」らだけでなく、彼らの家族、恋人、同僚の存在感も鮮やかであった。それぞれの生活が、赤、青、黄色と映像の色相が描き分けられている点も本作の特徴で、それぞれが異色の憂鬱と決意を秘めている。この三原色が混ざり合ってきたころには、ようやく明示的な解決策がないこと、愛や勇気だけではどうにもならないことを実感しはじめる。次第に、正義と悪の境界が滲み始め、正気を失いそうな不安に陥ってしまう。冒頭で述べた本作の絶望とは、まさにここに潜んでいる。

      ドキュメンタリーを観たかのようで、脱力感を得て、そして淡白だったという思いも禁じえないのであるが、一見の価値を強く主張しておきたい。ソダーバーグはエピローグのその後を観賞者の解釈に委ねているが、かろうじて「ハビエル」に希望を託しているようにも思える。彼の曇りのない眼差しの先には、おそらく後悔はない。信念という言葉に力強さ、頼もしさが帯びるような作品であった。

    ● 製作代表 : Bedford Falls Productions
    ● 日本配給 : 日本ヘラルド映画
    ● 世界公開 : 2000年12月27日 - アメリカ
    ● 日本公開 : 2001年04月28日
    by movis | 2008-09-08 02:18 | ドラマ