人気ブログランキング | 話題のタグを見る
Top
MOVIS
one for all, all for one
Will Be Next to ...
  • LIE TO ME 嘘の瞬間 1st season
  • LIE TO ME 嘘の瞬間 2nd season
  • アマルフィ 女神の報酬
  • ターミネーター サラ・コナー クロニクルズ 1st season
  • ターミネーター サラ・コナー クロニクルズ 2nd season
  • インセプション
  • 最近のエントリ
    リンク
    ザ・シークレットサービス / In the Line of Fire
    ● ザ・シークレットサービス / In the Line of Fire [アメリカ / 1993年]

    ザ・シークレットサービス / In the Line of Fire_b0055200_4275719.jpgクリント・イーストウッド演じる「ホリガン」の人間味と、ジョン・マルコヴィッチ演じる「ミッチ」の不気味さのコントラストが鮮やかな作品。サスペンス・アクションとして、展開に新鮮味はないものの、細部まで丁寧に作り込まれているため、見所には困らない。



    監督は、「アウトブレイク」「エアフォース・ワン」のウォルフガング・ペーターゼン。「フランク・ホリガン」役には、"ダーティハリー"シリーズのクリント・イーストウッド。「ミッチ・リアリー」役には、「マルコヴィッチの穴」のジョン・マルコヴィッチ。「リリー・レインズ」役には、"メジャーリーグ"シリーズのレネ・ルッソ。「アル・ダンドゥレア」役には、「マグノリアの花たち」のディラン・マクダーモット。

    "An assassin on the loose. A president in danger.
     Only one man stands between them..."
    アメリカ合衆国所属のシークレットサービス・エージェント「フランク・ホリガン」には、深い自責の念が刻み込まれている。それは、1963年11月、ダラスでジョン・F・ケネディを救えなかったことに他ならない。ストイックを貫く性格もあって、「ホリガン」は一匹狼にならざるを得ず、唯一の相棒は臆病で頼りのない「アル」だけであった。現職大統領の再選キャンペーンが賑わいだした頃、ホワイトハウスに大統領の暗殺脅迫が飛び込む。やがて「ホリガン」は殺し屋「ミッチ」の存在を嗅ぎ付ける。しかし、「ミッチ」は「ホリガン」の過去をジワジワとえぐり、挑発し始めるのであった…。


      要人警護やテロ防止のための捜査などを任務とするアメリカの公的機関"シークレットサービス"に焦点を当てた、サスペンス・アクション作品。演技のみならず、監督、製作、音楽と多彩な才能を併せ持つクリント・イーストウッドが、悲しい過去を背負う熟年のシークレットサービス・エージェントを生々しく演じた。

      そのようにして映画制作にも長けたクリント・イーストウッドが主演として演技に集中しているためか、サスペンスやアクションの要素が王道を行く素直な作品であった。癖なく爽快なカタルシスを与えるペーターゼンの持ち味が発揮された一作と言い換えることもできるが、不遇にも1990年初頭においてのサスペンス・アクション作品には本作と同様に"お決まり"な展開を迎える作品が多く、鮮明な印象が残りにくい仕上がりとなってしまっている点が唯一残念である。

      しかしながら、「ホリガン」という人間の内面を鋭くえぐっているところに作品の面白さがある。「ホリガン」は1963年11月のダラスでジョン・F・ケネディの警護に当たっていた、という設定を与えられているが、このアメリカ史上の悲劇を物語とリンクさせることで、彼が抱える自責の念をうまく表現している。さらには"シークレットサービス"という馴染みのない警察機関の採用をきわめてシンプルに説得することにも成功した。この現実の出来事は本作の本流ではないが、「ホリガン」の心の葛藤や「ミッチ」の挑発といった物語の鍵となって重要な機能を担っている。

      「ホリガン」と敵対して描かれる殺し屋「ミッチ」も独特の強烈な存在感を放つ。第66回アカデミー賞の助演男優賞ノミネートという功績にも表れているが、ジョン・マルコヴィッチの奇奇怪怪たる好演振りは、イーストウッドを喰わんとするインパクトがある。非情で冷静な「ミッチ」の不気味さは、人間味のある「ホリガン」との対峙によってますます醸成され、エピローグに向けて息を呑むような緊張感を漂わせている。

      1930年生まれのイーストウッドが歳相応の味のある演技に徹底している点にも触れておくべきだろう。「ホリガン」は自動車パレードの警護で息切れを隠せない。世代交代のプレッシャーをひしひしと感じても、報いを求めて衰えた身体に鞭を打つ。こんな描き方をされては、「ホリガン」の肩を持たないわけにはいかず、善悪がはっきりと分かれた構図であるものの、白々しさはなく哀愁すら感じる。サスペンスとして作品はスマートに決まっているが、こうした人間の奥深い部分も丁寧に描かれていて、見所には困らない作品だ。

    ● 製作代表 : Columbia Pictures Corporation
    ● 日本配給 : Columbia TriStar Films
    ● 世界公開 : 1993年07月09日 - アメリカ
    ● 日本公開 : 1993年09月15日
    by movis | 2008-11-29 04:33 | サスペンス / ミステリー